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FPD/PCB NEWS〜11月30日


産総研 金属型と半導体型SWCNTを高純度で分離する方法を開発

 産業技術総合研究所(産総研)は、シングルウォールカーボンナノチューブ(SWCNT)を金属型と半導体型に高純度で分離する技術を開発した。


図1 カラムを用いた金属型・半導体型の分離イメージ

 産総研は以前、SWCNTをアガロースゲルに固め込んだ状態のSWCNT含有ゲルに対して電気泳動を行うと高回収率で金属型と半導体型に分離できること、さらに電場を用いない場合でも分離できることを報告してきた。今回はさらに優れた分離法に発展させた格好。

 以前の分離方法は、ゲルに吸着した半導体型を分離回収するにはゲルを溶かして取り出す必要があり、分離純度もさほど高くなかった。そこで、今回はカラムクロマトグラフィ法を応用した(図1)。具体的にはアガロースゲルのビーズを充填したカラムにSWCNT分散液を添加した後、分離液を流すと、半導体型がゲルに吸着する一方、金属型はカラムを通り抜けて分離回収される。カラムに残っている金属型を洗い流した後、界面活性剤を含む溶出液をカラムに流すと、吸着していた半導体型が脱離・溶出されて回収できる。アガロースゲル充填カラムは平衡化を行えば再生できるため、再度分離が可能となる。さらに、繰り返し使用しても分離精度は低下せず、従来のSWCNT含有ゲルを用いて電気泳動や遠心分離で分離した試料と比べSWCNTの純度が向上し、半導体型で95%、金属型で90%という高純度が得られた。これは、密度勾配超遠心分離法で分離した試料の純度に匹敵する。


写真1 アガロースゲルビーズ充填カラムを用いたSWCNTの分離

 純度向上の理由としては、以前のSWCNT含有ゲルを用いた分離では長さ分布をもつSWCNTはゲルの網目(ふるい)構造の影響を受けやすく、SWCNTの電気的な性質だけでなく長さの違いも分離に影響して純度が低下していた一方、今回のカラム法では吸着・脱着がゲル表面で起こるためゲルの網目構造の影響を受けにくく、おもに電気的な性質の違いによって分離が起こるためと考えられる。
  周知のようにカラムクロマトグラフィ法は化成品や医薬品の生産工程で分離処理に広く用いられており、分離の自動化や大量分離に向けたスケールアップ技術が確立されている。今回開発した分離法はゲルの繰り返し使用や分離の自動化による人件費削減などにより分離コストは1/10以下になると試算され、安価で高純度のSWCNTの供給が可能となる。


FPD/PCB NEWS〜11月27日


富士通研究所 大面積基板全面にグラフェントランジスタを低温で直接形成
低電圧・低消費電力の次世代トランジスタの実用化に前進

 富士通研究所は次世代トランジスタ材料とされるナノメートルサイズの炭素材料(ナノカーボン)の一つであるグラフェンをCVD法により絶縁基板上に低温で直接形成する技術を開発、大面積基板全面にトランジスタを形成することに成功した。グラフェンの形成温度を650℃に引き下げたことにより、さまざまな絶縁基板上に直接グラフェントランジスタが形成可能になる。


図2 グラフェントランジスタ形成プロセス

写真1 さまざまな厚みに合成されたグラフェン

 グラフェンは鉛筆の芯などの材料としても使われている層状物質グラファイトの1層分で、炭素原子が六角形の網の目のように並んだシート状の構造を持つ。シリコンに比べ電子移動度が高いため、高速あるいは低電圧で動作するトランジスタが実現できるといわれる。

 酸化膜付きシリコン基板上にFe触媒膜を堆積し、アセチレンを原料とする熱CVD法により触媒膜上にグラフェンを形成する技術を開発した。写真1のように、厚み1nm程度の数層から50nm程度の多層グラフェンまでさまざまな厚みのグラフェンが形成できる。また、独自のCVD技術により、従来800〜1000℃だった合成温度を650℃程度に低温化。シリコン基板だけでなく、ガラスをはじめさまざまな基板上に直接グラフェンを形成する可能性を示した。

 一方、グラフェンをチャネル材料として用いたトランジスタ形成プロセスも開発した。


図3 トップゲートトランジスタの光学顕微鏡像と特性例

 図2のようにフローは、@通常のフォトリソグラフィプロセスを用いてFe膜をあらかじめチャネル形状に加工する、ACVD法によりFe膜上にグラフェンを形成する、BTi/Auソース・ドレイン電極をグラフェンの両端に形成しグラフェンを固定する、C酸でFe膜のみを除去すると、浮いた状態のグラフェンがソース・ドレイン電極の間を架橋した構造になる、D原子層堆積法(ALD法)によりグラフェンを覆うように酸化ハフニウム(HfO2)膜を堆積しグラフェンを安定化する、Eグラフェン上にHfO2を介してゲート電極を形成する、といった仕組み。トランジスタの性能向上には、Cのように浮いた状態のグラフェンを形成し、グラフェンの両面をクリーニングするのが重要だという。なお、ALD法では浮いた状態のグラフェンを覆うように絶縁膜を堆積することができる。

 今回用いた基板は直径75mmの酸化膜付きシリコン基板だが、さらに大きな300mmサイズの大きな基板にも適用可能。図2はトップゲートトランジスタのドレイン電流のゲート電圧依存性の一例で、グラフェンに特徴的な両極特性が得られた。


エプソン 中小型TFT-LCD事業の営業機能をエプソンイメージングからソニーグループへ移管

 セイコーエプソンは、12月1日付でエプソンイメージングデバイスの中小型TFT-LCD事業(高温Poly-Si TFT-LCDなどを除く)の営業機能をソニーとソニーモバイルディスプレイ(SMD)に移管する。同日付で新設されるSMD営業部およびソニーグループの海外セールスオフィスへ移管する。

 これにともない、エプソンイメージングは11月30日で営業活動を終了。営業活動に従事している人員の一部はソニーグループへ出向または転籍する。そして、エプソンは2010年4月1日にエプソンイメージングの生産関連資産の一部をソニーグループに譲渡する予定。


東京エレクトロンとオンヨネ 快適性と防塵性を両立させたクリーンスーツを共同開発

 東京エレクトロンとオンヨネは、快適性と防塵性を両立させたクリーンスーツ(防塵服)を共同開発した。

 オンヨネがスポーツウェアの開発で培った技術と、東京エレクトロンが保有するクリーンルーム作業の技術・情報を組み合わせた。とくに姿勢変化・作業負荷が大きい装置製造工程での作業に焦点を当て、クリーンスーツの生地から見直し、快適性を向上させる構造や縫製技術を採用した。これにより、作業者の衣服内の温度・湿度の上昇を抑えるとともに、圧迫感の解消や着脱性の改善など作業者へのストレスを最小限に抑えた。

 今後、両社は摩擦による静電気や発塵を抑えた通気性の良いインナーウェア、疲れを軽減できるクリーン安全靴なども開発する予定。


FPD/PCB NEWS〜11月26日


OKIデジタルイメージング 1.1型QVGAの高輝度LEDディスプレイを開発


 OKIデータのLED事業会社「OKIデジタルイメージング」はエピフィルムボンディング技術を2次元に展開し発光効率を高める技術を開発、1.1型QVGAのLEDディスプレイを試作することに成功した。

 エピフィルムボンディング技術で薄膜化したLEDを反射率と放熱性に優れたメタル基板上に搭載して光取り出し効率を高め、既存のLCDの1/10という低消費電力を実現した。また、LEDとしては驚異的といえる65μmピッチという高精細化を実現。もちろん、LCDに比べ応答速度も速く、コントラストも5000:1以上を確保した。2010年度末までにサンプル出荷する予定。


第2四半期の携帯電話用FPD市場は29億3000万ドル

 DisplaySearchの発表によると、第2四半期の世界携帯電話用FPDの出荷金額は第1四半期比29%増、前年同期比5%減の29億3000万ドルとなった。出荷枚数は第1四半期比30%増、前年同期比3%増の3億6000万枚。

 携帯電話メーカーシェアをみると、トップのNokia(フィンランド)がシェアを第1四半期の31.7%から25.5%に落とした。


FPD/PCB NEWS〜11月24日


UDCとFDC 米国陸軍向けフレキシブル有機ELの共同開発を推進

  米Universal Display(UDC)と米アリゾナ州立大学Flexible Display Center(FDC)は、米国陸軍向けのフレキシブル有機ELディスプレイの共同開発を推進すると発表した。

 高効率な燐光発光材料を用い、フレキシブルなプラスチックフィルム上にアクティブパネルを作製する狙い。UDCは米国陸軍省の助成事業第2フェーズとして今回の研究開発助成金65万ドルを受け取っている。


FPD/PCB NEWS〜11月20日


TMD 日本写真印刷に姫路地区の土地・建物を賃貸

 東芝モバイルディスプレイ(TMD)は、東芝・姫路工場敷地内(兵庫県姫路市)に保有する土地・建物を日本写真印刷に賃貸する。中小型TFT-LCDを生産している100%子会社のティー・エフ・ピー・ディー(TFPD)が12月末で生産を停止するのにともなうもの。

 賃貸する敷地面積は3万875m2で、工場の延床面積は3万4761m2。日本写真印刷は静電容量方式などのタッチパネル生産ラインを導入する予定。


エンプラス LED光源液晶テレビのBL向け拡散レンズを量産


 エンプラスは、LED光源液晶テレビのバックライト(BL)に不可欠な拡散レンズを製品化、量産を開始した。

 独自開発したLight Enhancer Capは、光束制御技術によって指向性の強いLED光を拡散し照度分布を均一にすることができ、さらにBLの大きさ、LED光源の数、配置などもフレキシブルに対応することができる。また、LEDの灯数を削減することもできる。


FPD/PCB NEWS〜11月19日


安川電機 有機EL/TFT-LCDガラス基板用真空ロボット2機種を発売

 安川電機は、有機EL/TFT-LCDガラス基板搬送用として2種類の真空ロボット「SEMISTAR-V35D-G4/SEMISTAR-V40D-G6」をリリースする。ガラス基板を高真空中(1×10-6Pa)で高速搬送・移載でき、双腕型であるため基板処理室において処理前の基板と処理後の基板の入れ替えを同時に行うことができる。

 SEMISTAR-V35D-G4は最大730×920mm(G4クラス)のガラス基板に対応。平行リンク機構を採用した高剛性アームにより35Kg/アームの可搬能力と繰り返し位置決め精度各軸±0.3mmを確保した。使用状況によって最適なロボットが選択できるよう、前後方向ストロークの違う2機種、短ストローク仕様(2050mm)と長ストローク仕様(2357mm)を用意している。

 他方、SEMISTAR-V40D-G6は最大1850×1500mm(G6クラス)のガラス基板が搬送可能で、こちらも可搬能力40Kg/アームと繰り返し位置決め精度各軸±0.5mmを実現した。


FPD/PCB NEWS〜11月18日


三菱ガス化学 モノメチルホルムアミドの事業化を決定

 三菱ガス化学は、モノメチルホルムアミド(NMF)を事業化することを決めた。新潟工場(新潟県新潟市)にあるジメチルホルムアミド(DMF)生産設備の一部を転用し、NMFとDMFの切替運転により2010年春から年産7500トン規模で生産を開始する。

 NMFは電子材料、医薬・農薬の合成における抽出溶媒、塗料用溶剤など幅広く使われており、今後、電子材料向けを中心に年率10〜15%の需要拡大が見込まれる。


FPD/PCB NEWS〜11月17日


CMOとInnoluxが合併

 Chi Mei Optoelectronics(CMO)とInnoLux Displayは、株式交換方式により合併すると発表した。新会社名は「Chimei Innolux Corp.」で、CMOの2.05株がInnoluxの1株に交換される予定。


FPD/PCB NEWS〜11月13日


コニカミノルタ Roll to Roll対応の塗布型有機ELパイロットラインを建設

 コニカミノルタホールディングスは、東京都日野市の事業所内に塗布型Roll to Roll方式の有機ELデバイスパイロットラインを建設する。本格量産へ向け生産技術を確立する狙いで、2010年秋に完成する予定。

 パイロットラインでは、独自設計した塗布型Roll to Roll方式設備によりプラスチックフィルムをサブストレートに用いたフレキシブル有機EL照明デバイスを試作する。投資額は約35億円。2010年度内の商業化を目指す。


FPD/PCB NEWS〜11月12日


第2四半期の大型TFT-LCD用偏光板市場はLG Chemが3四半期連続のトップに


▲大型TFT-LCD用偏光板市場推移 出所:Displaybank

 Displaybankの発表によると、第2四半期の大型TFT-LCD用偏光板市場はLG Chemがシェア29%で3四半期連続のトップとなった。アプリケーションでは、テレビ用偏光板市場規模は約8億ドルとなり、金額ベースで大型TFT-LCD用の52%、面積ベースで57%を占めた。

 テレビ用偏光板市場(面積ベース)ではLG Chemがシェア30%でトップ。2位が日東電工でシェア29%、3位が住友化学でシェア25%と続き、これら3社の合計シェアは80%に達した。LG ChemはIPSアルファテクノロジやSamsung Electronicsにも供給を開始するなど、今後もシェアが拡大する見通し。

 モニター用偏光板市場でもLG Chemがシェア37%でトップ。日東電工がシェア19%、韓国ACEDigitechがシェア16%で続く。3社以外では、台湾のChi Mei Materials Technology(CMMT)とDaxonTechnologyが大幅にシェアを伸ばした。

 ノートPC用偏光板市場では住友化学がシェア37%でトップ、2位が日東電工でシェア34%。依然としてこのカテゴリーでは上記2社が60%以上を占めた。2社以外では、ACE DigitechがSamsung向けの約50%を供給するなどシェアを17%に高め3位にランクインした。

 これらの結果、トータルの大型TFT-LCD用偏光板市場ではLG Chemがシェア29%でトップ、日東電工がシェア27%で2位、住友化学がシェア20%で3位、ACE Digitechがシェア7%で4位となり、韓国メーカー2社の合計シェアが全体の約40%を占めた。


エプソン ビューファインダー用0.52型HTPSを開発


 セイコーエプソンは、電子ビューファインダー向けとして0.52型QHD(960×540画素)対応Poly-Si TFT-LCD(HTPS:High Temperature Poly-Silicon)を開発した。

 QHD解像度のためフルHDとの高い親和性を確保。また、カラーフィルター方式を採用したため、フィールドシーケンシャル方式でみられるカラーブレークアップ現象が原理的に発生しない。放送用・業務用カムコーダーなどプロユースのワイド型電子ビューファインダー向けとしてサンプル出荷する。


FPD/PCB NEWS〜11月10日


日立製作所 従来機比1/10にコンパクト化した小型シートナノインプリント装置を開発


 日立製作所は、従来試作機に比べ本体サイズを約1/10にコンパクト化した小型シートナノインプリント装置を開発した。本体サイズは幅860×高さ800×奥行720mmで、ナノスケール構造体を連続成形するシートナノインプリントの導入が容易になる。2010年4月から日立と日立産機が販売する。

 シートナノインプリントは熱ナノインプリントの一つで、微細な凹凸パターンを設けたベルト状のナノ金型を用いて加熱、加圧、冷却、シートとナノ金型の剥離といった加工工程を連続して行う。そのため、従来のナノインプリントに比べ生産性が高いとされる。

 開発したシートナノインプリント装置は、従来試作機に比べ約半分の長さである周長1mのベルト状ナノ金型と、上下に2本づつ配置する加熱・加圧ロール・剥離ロールから構成される。ベルト状ナノ金型の長さを縮め、ロール駆動機構を再設計することによりコンパクト化した。また、加熱と加圧を一体化したロールを用いて予備加熱機構を設けることで被成型体を加圧する前にナノ金型の表面温度を上昇させることができるため、転写速度を高速化できる。さらに、加熱・加圧されたシートを冷やす冷却機構を搭載し、シートの熱変形を抑制して成形精度を高めた。


FPD/PCB NEWS〜11月9日


エプソン 3LCDプロジェクター用4K対応HTPSを開発


 セイコーエプソンは、3LCD方式プロジェクター向けとして世界初の4K(4096x2160画素)対応1.64型高温Poly-Si TFT-LCD(HTPS:High Temperature Poly-Silicon)を開発した。

 画素ピッチは9μmで、4K解像度の駆動に最適化したドライバICを独自開発しフルHDの4倍という高精細化を実現した。また、液晶配向膜の無機化および垂直配向技術により、高コントラストで艶のある高画質が得られるようにした。


FPD/PCB NEWS〜11月6日


カシオと凸版印刷 有機ELDなど中小型ディスプレイ事業で協業し新会社を設立


  カシオ計算機と凸版印刷は、有機ELディスプレイの早期量産化を目指し中小型ディスプレイ事業で協業する。カシオが中小型ディスプレイ事業会社を設立し、株式の一部を凸版印刷に譲渡する予定だ。

 新会社はカシオが2010年2月末までに100%出資で設立。資本金は4億円で、代表取締役社長には大野一郎・カシオ執行役員デバイス事業部長が就任する。2010年4月1日付けで会社分割によりカシオの中小型TFT-LCD事業および有機ELD開発設備、人員を承継。さらに、カシオの100%子会社である高知カシオの全株式も承継し100%子会社にする。そして、2010年4月1日を目標に新会社の株式80%をカシオから凸版印刷に譲渡する予定。

 新会社は両社の技術を用いて有機ELDを早期に量産化し、カシオの既存ユーザーを中心に販売する。また、引き続き中小型TFT-LCDも開発・販売する。


FPD/PCB NEWS〜11月4日


コニカミノルタIJ 消費電力を低減した産業用IJヘッドを発売


 コニカミノルタIJは、消費電力を大幅に低減した産業用インクジェット(IJ)ヘッド「KM1024シリーズ」を発売する。

 KM1024は、現行製品「KM512」の2倍に相当する1024個のノズルを搭載。ヘッド幅も2倍の72mmに広幅化し生産性を高めた。また、低電気容量のアクチュエーターの開発により、消費電力をKM512に比べ約50%削減した。さらに、新開発ICにより8階調での印字を実現した。この結果、高精細化が必要な用途での使用範囲が拡大するという。


FPD/PCB NEWS〜11月2日


Sigma-Aldrich TIPSペンタセンを発売

 米Sigma-Aldrichは、塗布型有機半導体材料であるTIPSペンタセンを発売する。TIPSペンタセンは米3Mと米ケンタッキー大学と共同開発したもので、有機溶媒に溶解するためインクジェット法や各種印刷法で有機半導体層をダイレクト形成することができる。