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FPD/PCB NEWS〜6月30日


エプソン 中小型TFT-LCD事業の一部をソニーへ譲渡

 セイコーエプソンとソニーは、エプソンイメージングデバイスの中小型TFT-LCD事業の一部をソニーとソニーモバイルディスプレイ(SMD)へ譲渡する契約を結んだ。

 まず、年内にエプソンイメージングの中小型TFT-LCD事業に関する営業機能をソニーグループに移管する。そして、2010年4月1日付で@エプソンイメージングがSMDに本社(鳥取県鳥取市)のa-Si TFT-LCD工場・設備を一部譲渡するとともに、土地の一部を貸与する、Aエプソンの中小型TFT-LCDに関する特許、ソフトウェア、技術情報などの知的財産をソニーグループに一部譲渡する、B中小型TFT-LCD事業に従事するエプソングループの一部従業員はソニーグループへ出向する、といった内容。なお、今回の資産譲渡について対価の支払いは発生しない。


産総研 レーザー援用IJ法で微細配線の高速描画に成功

 産業技術総合研究所(産総研)は、インクジェット(IJ)描画中にレーザービームを照射することにより、アスペクト比1以上、線幅10μm以下の微細配線パターンを10mm/secで高速描画することに成功した。

 レーザー援用インクジェット法(Laser assisted Ink-Jet printing:LIJ)と命名した技術は、シングルノズルヘッドから直径25μm(8.2pL)程度のインク液滴を滴下。直後にCO2レーザービームを照射し局所加熱を行って液滴の流動制御や液滴中の溶媒乾燥を促進する仕組み。この結果、吐出液滴径よりも小さい線幅5〜10μm、膜厚10μm、アスペクト比(配線厚/配線幅)1以上のAg配線(図1、図2)をガラス基板上に描画。この際、描画速度も10mm/secと高速化することに成功した。吐出インク液滴径よりも小さい線幅がIJ法で描画できる可能性を初めて示したもので、図1のようにレーザー照射レスで表面処理レス基板に描画した配線に比べアスペクト比を250倍以上に高めた。さらに、バルジ効果と呼ばれる着弾時の液滴の不均一な濡れ広がりやコーヒーリング現象と呼ばれる膜厚の不均一も抑制できた。

 使用したのは市販のAgナノインクで、例えば線幅10μmのAgパターンの配線抵抗値は、レーザー照射レスの70Ω/□から6Ω/□に低減。いうまでもなく、これは高アスペクト比によって膜厚が厚膜化できたため。


図1 描画配線アスペクト比(配線厚/配線幅)に対するレーザー照射効果

図2 高アスペクト比の配線(縦横高さ等倍)とその断面形状

写真2 研削加工で形成した溝の段差乗り越え配線描画(ガラス基板上)

写真1 シリコン基板上の段差乗り越え

 写真1はシリコン基板上の段差を乗り越えたて配線パターンを描画した写真で、ノズル液滴が比較的大きいためノズル〜基板間距離が従来のIJ法よりも大きくとれ、100μm以上の段差エッジ部を乗り越えて配線が描画できた。さらに、従来のIJ法では基板表面が粗いと微細凹凸の面内方向の毛細管力によって描画パターンが広がるのに対し、写真2のようにレーザー援用IJ法では基板に到達した液滴は瞬時に固化するため、基板表面の粗さの影響を受けない。このため、故意に基板表面を荒らしておけば、物理的アンカーリング効果によって描画パターンと基板の密着力を向上させることもできる。

 前記のように液滴サイズが数pLと比較的大きいノズル開口が使用可能で、局所加熱の影響によるノズル開口部の乾燥や飛翔液滴の軌道変化も少ないため、インク乾燥によるノズル詰まりも生じにくく正確なインク液滴の着弾が可能になる。また、酸化物材料などのインク材料も導電材料と同様、アスペクト比が向上することを確認した。

 産総研ではチップとメイン基板間のインターポーザ(中継基板)、フレキシブル樹脂部材上への配線、金属部材を用いた際の段差接続や曲面上での高密度配線などに有効としている。


FPD/PCB NEWS〜6月29日


東レ・ファインケミカル 中国河北省にDMSO生産会社を設立

 東レ・ファインケミカル(TFC)は、中国石化集団(SINOPEC)傘下の中国石化集団資産経営管理有限公司と合弁でジメチルスルホキシド(DMSO)の生産・販売合弁会社を設立する。

 7月に新会社「滄州東麗精細化工有限公司(Cangzhou Toray Fine Chemicals)を設立する。資本金は1億人民元(14億3300万円)で、TFCが60%、資産管理公司が40%を出資する。新会社設立にあたり、資産管理公司が保有するDMSOの中間体原料ジメチルスルフィド(DMS)生産設備を取得するとともにDMSO生産設備を新設。総投資額は2100万ドル(20億円)で、年間1万トンを生産・販売する。

 DMSOは有機化合物や無機化合物を溶かす非プロトン系極性溶剤で、電子部品やプラントの洗浄剤、自動車部品成型用の剥離剤、医薬・農薬などの反応溶媒などに幅広く使用されている。 


FPD/PCB NEWS〜6月26日


ブリヂストン 棚札用電子ペーパーを本格販売

 ブリヂストンは、7月1日から棚札用電子ペーパーを本格販売する。

 棚札用電子ペーパーは今後急速な市場拡大が見込まれるため、3年後に50億円、また電子書籍を含めた電子ペーパー全体では5年後に100億円の売上げを目指す。


大日本印刷 ユニマイクロンの中国昆山工場内にPCB製造ラインを新設

 大日本印刷(DNP)とユニマイクロン・テクノロジー・コーポレーション(台湾)は、ユニマイクロンの中国昆山工場内にDNP独自のPCB製造技術であるB2itを用いた高密度PCB製造ラインを新設、7月から量産を開始する。

 B2itは高密度化に対応したビルドアップ基板製造技術のひとつで、@基板の層間の接続位置を自由に構成できる、A層間接続の形成にめっき処理プロセスがないため、廃液処理や廃液設備が不要で環境負荷が少ない、B層間接続部の真上に部品を実装できるなど設計自由度が高い、CICチップやコンデンサーなどの部品内蔵基板の製造に適する、といった特徴がある。今回の新ラインではデジタル家電や通信機器装置用PCBを生産する。

 今後の需要に応じて製造ラインを増設し、月産1万m2の生産能力を確立し、2012年度に180億円の売上げを目指す。


FPD/PCB NEWS〜6月25日


エプソン 0.55型XGA高温Poly-Si TFT-LCDを量産


 セイコーエプソンは3LCD方式データプロジェクター向けとしてXGA対応0.55型高温Poly-Si TFT-LCD(HTPS:High Temperature Poly-Silicon)開発、量産出荷を開始した。

 画素ピッチを11μmに狭ピッチ化し、従来の0.63型パネルと同等の高開口率73%を確保した。また、有機配向膜と高耐光性液晶材料を使用し、プロジェクタの照度を2000〜2600lmに高めることができるようにした。


FPD/PCB NEWS〜6月24日


出光興産とLG Display 有機ELで戦略提携

 出光興産とLG Displayは、有機EL分野における技術的な相互協力およびクロスライセンスを含む戦略的提携関係を構築することで合意した。

 出光はLG Displayに対し高性能有機EL材料を提供するとともにデバイス構造などを提案する。また、両社が保有する有機EL関連特許をクロスライセンスし、互いに自由に利用できるようにする。

 出光は05年からソニーと有機EL材料を共同開発しているほか、東芝モバイルディスプレイとも技術開発で提携している。今回のLG Displayとの戦略的提携により、有機EL材料事業をさらに強化する。


大日本印刷 50mm角の有機薄膜太陽電池でエネルギー変換効率4%以上を達成


  大日本印刷は、50×50oの大型有機薄膜太陽電池でエネルギー変換効率4%以上を達成した。

  一般的に、有機薄膜太陽電池を大型化するとエネルギー変換効率が低下する。これは、発電した電力を外周の電極まで集電する際、透明導電膜に生じる発熱による電気エネルギーのロスによるものと考えられる。そこで、フォトエッチング技術により透明導電膜に特殊な開口を有する補助電極を設け抵抗値を下げることにより発熱ロスを抑制し、エネルギー変換効率を高めた。

 2012年度中にサンプル出荷を開始し、2015年度までの実用化を目指す。また、PETフィルムなどのフレキシブルフィルムを用いたRoll to Rollプロセスの量産化も検討していく。


三星ダイヤモンド 大日本スクリーンのレーザー子会社を買収

 
  三星ダイヤモンド工業は、大日本スクリーン製造から100%子会社の「レーザーソリューションズ」の全保有株式を取得し買収すると発表した。

  三星ダイヤモンドは両社のレーザー加工技術を融合し、とくに今後の発展が期待されるLED分野においてレーザー関連装置の拡販を本格化する。


FPD/PCB NEWS〜6月23日


AUOとSichuan Changhong Electric TFT-LCDモジュール生産合弁会社を設立

 AU Optronics(AUO)は、Sichuan Changhong Electric(中国)と合弁でTFT-LCDモジュール生産会社「BVCH Optronics(Sichuan)」を設立すると発表した。資本金は1億人民元で、AUOは51%を出資する予定。


大日本印刷 高感度のPCB用感光性硬化剤を開発

 大日本印刷は、従来比約50倍の感光性能を実現した光塩基(アルカリ)発生剤を開発した。この光塩基発生剤をポリイミドやエポキシなどの樹脂の感光材料として使用すれば、高密度プリント基板(PCB)などの電子デバイスにおける微細金属配線の絶縁処理で酸が発生しないため高い信頼性が確保できるという。


▲光塩基発生剤を用いた感光性ポリイミドのパターニング例(線幅18μm)

  一般的な光酸発生剤を添加した絶縁材料は紫外線照射で発生する酸によって金属配線を腐食することがあり、今後、配線のさらなる微細化によってこうした問題が顕在化するといわれる。このため、金属腐食の心配がない塩基(アルカリ性)の光塩基発生剤を添加した絶縁材料が検討されているが、感度が低いためポリイミドやエポキシなどの樹脂を硬化させるには多量の紫外線照射量が必要で、かつ耐熱性が低いといった問題を抱えていた。

 今回、同社は分子構造を工夫し、従来の光塩基発生剤に比べ約1/50の紫外線照射で反応する高感度化を実現。この光塩基発生剤を添加したポリイミドやエポキシなどの樹脂は、光酸発生剤を添加した絶縁材料と同等の紫外線照射量で硬化させることができる。また、環境負荷の少ないアルカリ水溶液で現像でき、感光材料の添加量も従来比30〜50%低減できる。さらに、光酸発生剤と同等の耐熱性(180〜240℃)も確保した。

 今後、光塩基発生剤を添加した絶縁材料の開発を進め、2010年度中の実用化を目指している。


FPD/PCB NEWS〜6月19日


第7世代TFT-LCDラインでの大型パネル生産が増加

 DisplaySearchの発表によると、第1四半期の大型TFT-LCD生産ラインの世代別シェアは第7世代(マザーガラスサイズ1870×2200o、1950×2250mm)ラインが08年第4四半期比1.8ポイント増の34.3%と最大になった。

 第4世代以下は0.7ポイント減の2.3%、第5世代は2.2ポイント減の24.4%、第5.5世代は1.3ポイント増の4.4%、第6世代は0.3ポイント減の23.9%、第8世代は0.5ポイント減の10.8%。

 2010年第1四半期には第8世代が19.4%、第10世代が2.8%にまで比率を伸ばす見通し。


FPD/PCB NEWS〜6月18日


産総研、物材機構、筑波大 つくばにナノテクノロジー研究開発拠点を設置

 産業技術総合研究所(産総研)、物質・材料研究機構(物材機構)、筑波大学はつくば市に世界的なナノテクノロジー研究開発拠点を形成することで合意した。日本経済団体連合会産業技術委員会(日本経団連)の参加を得て、推進組織として「つくばナノテクノロジー拠点運営最高会議」を設置する。

 経済産業省と文部科学省の平成20年度および21年度補正予算約360億円により、ナノテクノロジー研究開発の中核施設をつくばにある産総研と物材機構内に整備する。これにより、企業が要望する異分野技術を融合した実証研究が可能になる。

 また、つくばナノテクノロジー拠点運営最高会議では中核施設を有効活用できるよう、産業界の研究開発需要の把握、材料研究・デバイス研究との密接な連携、国内主要大学の参加する大学院を中心とする研究開発人材の育成を検討する。具体的には@ナノエレクトロニクスの研究開発、Aパワーエレクトロニクスの研究開発、Bナノテクノロジーと微小電気機械システム(MEMS)の融合、Cカーボンナノチューブの研究開発、Dナノテクノロジーを活用した環境・エネルギー技術の研究開発、Eナノ材料の安全性評価、F拠点を活用した大学院教育による人材育成、G他の研究機関、大学との連携、を検討する。そして、2010年度からの本格活動に向け、拠点施設を設計・整備するとともに、ナノテクノロジー研究開発に参画する企業と大学を募る。


5月の大型TFT-LCD出荷枚数は過去最高を記録

 Displaybankの発表によると、5月の大型TFT-LCD出荷枚数は単月ベースで過去最高の4373万枚に達した。5か月ぶりに過去最高を記録したことから、TFT-LCD市況の底は完全に脱したとしている。


▲大型TFT-LCD出荷枚数推移 出所:Displaybank

 とくに、テレビ用パネルの出荷枚数は前月比13.7%増、前年同月比41.6%増と大幅に増加し、数量ベースで28%、金額ベースでは56%を占めた。

 メーカーシェアは、金額ベースでSamsung Electronicsがシェア27%でトップ。LG Displayがシェア25%で2位、AU Optronics(AUO)がシェア16.%で3位。韓国2社の合計シェアは前年同月の44%から52%にアップした。一方、数量ベースではLG Displayがシェア25%でトップ、Samsungがシェア24%で2位、AUO がシェア18%で3位となっている。

 ここにきて中国と北米で需要が急増しているほか、パネルメーカーサイドでガラス基板などの部材確保が難しくなっていることから、パネルの需給はタイト感が強まっている。このため、6月もパネル需要は増加するものの、出荷の伸びはやや鈍化する見通し。


FPD/PCB NEWS〜6月17日


第1四半期のテレビ用IC出荷は前年同期比11%増

 DisplaySearchの発表によると、第1四半期のテレビ用IC出荷個数は前年同期比11%増、08年第4四半期比4.3%減の3080万個となった。

 メーカー別ではMediatek(台湾)がトップ。2位はMStar Semiconductor(台湾)、3位はSamsung Electronicsとなっている。


FPD/PCB NEWS〜6月15日


富士フイルム LCD用視野角拡大フィルムの新工場を稼働

 富士フイルムは、FPD材料の主要生産拠点である富士フイルムオプトマテリアルズ内(静岡県榛原郡吉田町)に建設中だったLCD用視野角拡大フィルム「WV(ワイドビュー)フィルム」第9工場を本格稼働すると発表した。投資額は62億円で、7月から稼働を開始する。

 延床面積は約7000m2で、年産能力は2500万m2。この結果、既存の第1〜8工場と合わせた年産能力は1億1500万m2にアップする。

 


FPD/PCB NEWS〜6月12日


09年にLED-BL搭載大型TFT-LCDの出荷枚数が1億枚強に


▲09年のテレビ用LED-BL搭載TFT-LCDの世界シェア予測 出所:DisplaySearch

 DisplaySearchは、09年にLEDバックライト搭載大型TFT-LCDの出荷枚数が1億枚を越えるとの予想を発表した。

 08年のLED-BL搭載大型TFT-LCDの出荷枚数は1330万枚だったが、今年1〜3月期は前年同期に比べ8.8倍の1060万枚に達した。このため、年間では1億450万枚に達し、全体に占める比率は25%になると予測している。

 アプリケーション別では小型・低価格ミニノートPCはほぼすべてがLED-BL搭載に、通常のノートPCも7〜9月期には半数以上がLED-BL搭載になる見通し。

 また、テレビ向けでもSamsung Electronicsが今年初めにLED-BL搭載液晶テレビをリリース。他社も相次いで追随化している。図のように、年間ではSamsung Electronicsとシャープで9割近くのシェアを占める見通しだ。


FPD/PCB NEWS〜6月11日


エプソン WUXGA/WXGA対応の高温Poly-Si TFT-LCDを量産

 セイコーエプソンは、3LCD方式プロジェクター向けとしてWUXGA(1920×1200画素)0.94型、WXGA(1280×800画素)対応0.95型高温Poly-Si TFT-LCD(HTPS:High Temperature Poly-Silicon)の量産を開始した。

 どちらも高開口率化によって5000lm以上の高輝度に対応。また、無機垂直配向のC2FINE技術を採用しハイコントラストを実現した。


大日本スクリーン 08年のTFT-LCD用塗布現像装置シェアは73%

 大日本スクリーン製造は、08年のTFT-LCD用塗布現像装置世界シェアが73%に達したと発表した。

 DisplaySearchの市場調査報告によるもので、同社の「SKシリーズ」が07年の43%からシェアを大幅に伸ばし、04年以来5年連続でトップをキープした。また、ウェットエッチング装置やレジスト剥離装置でもトップだった。


FPD/PCB NEWS〜6月10日


沖電線 2mm幅、3m長の極細長尺FPCを開発

 沖電線は2mm幅、長さ3mの極細長尺フレキシブルプリント配線板(FPC)を開発、販売を開始した。量産時は1万本の生産を予定している。

 ケーブルが細線になったことでのハーネス加工の複雑化や誤配線の問題を解決、細線ケーブルでは実現できなかった部品実装、軽薄化、高屈曲性を可能にした。また、低背コネクタの表面実装やLED、CCD素子などの部品実装により、機能化やモジュール化が容易になる。さらに、2mmサイズ10芯の配線が1枚のFPCで済み、電線のように絡まりやキンクなどの発生もなくなる。厚みは50μmクラスまで軽薄化可能で、屈曲性についてもIPC屈曲で1億回以上(1.5R)を確保した。なお、配線密度は細線ケーブル(電線)の2倍以上に当たる180μmピッチに対応できる。


昭和電工 4元系赤色LEDが経産省植物工場モデル施設の光源に採用

 昭和電工は、植物育成に適する波長光660nmを発する4元系赤色LED素子が経済産業省の完全制御型植物工場モデル施設の光源として採用されたと発表した。

 この植物工場モデル施設は今年1月、経済産業省別館ロビーに設置。当初は人工光と太陽光を併用していたが、5月26日にLED、蛍光灯、ナトリウムランプなどの人工光のみに一新し、温湿度制御装置を備えた完全制御型植物工場モデルとしてリニューアルした。このモデル施設に装着されたLEDランプには、同社の赤色LED素子800個が使用されている。


FPD/PCB NEWS〜6月8日


低迷が続く実装関連市場は2013年には07年と同等規模にまで回復

 富士キメラ総研は、半導体・プリント配線板実装関連製品の世界市場調査報告書「2009 エレクトロニクス実装ニューマテリアル便覧」をまとめた。それによると、昨秋から急激に縮小した実装関連市場は2010年からプラス成長に転じ、2013年には07年と同等規模にまで回復すると予測している。以下、今後の有望製品についてみてみる。


▲実装関連機器市場の世界市場推移(出所:富士キメラ総研)

部品内蔵基板
  部品内蔵基板は、表面実装していた部品を基板内に埋め込むことで基板面積を削減した製品。デジタル機器が高機能化することにより実装デバイスが増加し機器の小型化が難しくなっており、部品内蔵基板は高機能化・小型化を実現する基板として期待が高まっている。また、従来よりも表面実装を少なくできるため、部品配置の自由度がアップする。

 08年の世界市場規模は数量ベースで3585万個、金額ベースで前年比18.5%増の32億円。携帯電話用カメラモジュールの基板が最も多く、数量ベースで95%を占める。そのほか、携帯電話用の電源モジュール、携帯電話やノートPCのワンセグモジュール、産業機器用の無線モジュールの基板などがある。

 09年の国内市場は不況の影響により数量ベースで減少するが、金額ベースでは単価の高い無線チップやプロセッサの内蔵がはじまるため大幅に拡大するとみられる。一方、海外でも部品内蔵基板の供給が開始される見通し。このため、ワールドワイドでも市場が拡大すると予測される。

 現在は携帯電話向けの部品内蔵基板が大半を占めるが、今後、ハイエンドパソコンやポータブルオーディオなどでさらなる小型高機能化が進むため、需要拡大が期待される。

PCB用直描露光装置
  直描露光装置(LDI:Laser Direct Imager)はドライフィルムレジスト(DFR)やソルダーレジストをUVガスレーザー、UV固体レーザー、短波長紫色LD光源を用いて直接描画する装置で、PCBにおける回路パターンの微細化から導入が進んでいる。

 08年の市場規模は台数ベースで前年比4%減の120台、金額ベースで5.2%減の110億円。09年もPCBメーカーの設備投資は慎重になるため、台数ベース、金額ベースとも前年比40%以上縮小する見込み。ただ、ビルドアップ基板の高密度化により量産ライン内に組み込んで使用するケースが増えており、2010年以降は前年比プラスに転じると予想される。

LDI用DFR
  LDI用DFRは両面・多層基板やFPCの回路形成に用いられ、感光剤の組成などが通常のDFRとは異なる。

 08年の市場規模は数量ベースで前年比4%増の2600万m2、金額ベースでは横バイの65億円。汎用DFRが価格競争の様相を呈しているため、メーカー各社は高付加価値のLDI用DFRの増産に乗り出しており、09年は中国で需要が急拡大。2013年には海外需要が70%以上になる見通し。

はんだボール
  はんだボールはBGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)などのパッケージの外部電極として使用される。また、ウェハレベルパッケージで用いられるフリップチップ実装においてパッケージ内でチップを縦方向にスタックする際のチップ同士の接続部にも使用される。

 08年の市場規模は数量ベース、金額ベースともに前年比10%減の3兆1500億個、477億円と、秋からの世界同時不況により初のマイナス成長に終わった。参入メーカーは需要拡大を見越して増産体制を整備したため、需要縮小により生産は停止状態にある。

 ピッチの微細化および多端子化にともない年々ボール径が小さくなっているため1個当たりに使用する材料も減っているが、BGA/CSP市場、ウェハーレベルパッケージ市場の拡大により、今後、市場は拡大すると予測される。


Azores LG Displayが露光装置を量産採用

 米Azoresは、LG Displayが同社のFPD用露光装置を量産採用したと発表した。

 同社は米MRS Technologyの主要メンバーが設立したFPD用露光装置メーカーで、低温Poly-Si TFT-LCD向けなどにステッパーをラインアップしている。


FPD/PCB NEWS〜6月5日


大日本スクリーン FPC用ダイレクトパターニング装置が第5回JPCAアワードを受賞

 大日本スクリーン製造は、新開発したFPC用ダイレクトパターニング装置が「第5回JPCAアワード」を受賞したと発表した。

 JPCAアワードは、日本電子回路工業会が主催する第39回国際電子回路産業展「JPCA Show 2009」の併催企画である出展者製品・技術セミナー「NPI(New Product Introduction)プレゼンテーション」の発表者を対象に、製品・技術の独創性や産業発展への貢献性などを総合的に評価し表彰する制度として05年に創設された。


リンテック CCL裏面補強用微粘着テープをリリース

 リンテックは、工業用片面微粘着テープ「スリムライナー」のニュープロダクトとして耐熱タイプの銅張積層板(CCL)裏面補強用テープ「スリムライナーSRL-050F(SF)/SRL-050F(SFCL)」を発売する。

 新製品は新たな粘着剤を使用し、FPC製造時の熱プレス工程(回路形成後にカバーレイを貼合する工程)における加熱プロセスに対応したCCL裏面補強用微粘着テープ。このテープに一般的な粘着剤を使用すると、配線上にカバーレイを接着する際の加熱によりテープの粘着力が高まり、剥がした際に粘着剤成分が移行することでトラブルが発生しやすい。こうした問題を独自の粘着技術で解消するとともに、熱によるテープ自体の収縮も抑制し寸法安定性を高めた。また、熱による粘着剤からのアウトガスも発生しにくくなっている。


FPD/PCB NEWS〜6月4日


S-LCD 第8世代第2生産ラインの稼動を開始

 Samsung ElectronicsとソニーのTFT-LCD生産合弁会社「S-LCD」は、2本目の第8世代マザーガラス対応生産ライン「8-2ライン」の稼働を開始した。投資額は約1.8兆ウォン。

 マザーガラスサイズは2200×2500oで、テレビ用32V型/46V型/52V型パネルを生産し両親会社を中心に出荷する。年末までにマザーガラス投入能力を月7万枚に引き上げる予定。


FPD/PCB NEWS〜6月3日


PVI E Inkを買収

 台湾のFPDメーカー、Prime View International(PVI)はマイクロカプセル型電気泳動ディスプレイの元祖である米E Inkを買収することで基本合意したと発表した。買収金額は約2億1500万ドル。

 PVIは蘭Philipsからアクティブマトリクス駆動マイクロカプセル型電気泳動ディスプレイ事業を取得。E Inkから前面フィルムを調達しモジュールとして生産している。


FPD/PCB NEWS〜6月1日


DuPont Displays 100万時間以上の長寿命緑色有機EL材料を開発

 米DuPont Displaysは、輝度半減寿命100万時間以上の有機EL用緑色発光材料を開発した。効率は25cd/Aで、色度はx=0.26、y=0.65。インクジェットプリンティング法をはじめとする印刷法で成膜できるという。


三菱製紙 ファインパターン回路形成用レジスト・ウェットエッチング技術を開発


▲配線ピッチ40μmのCu配線パターン例

 三菱製紙は、ファインパターン回路形成用のフォトレジスト技術・ウェットエッチング技術を開発した。

 ドライフィルムレジスト(DFR)を使用した新工法を開発。これまで困難だった薄膜レジスト層(最小厚さ2μm)を安定形成できるようにした。また、薄膜レジスト層形成時に発生するテンティング不良やラミネーション不良といった問題も解決した。

 さらに、Cuエッチング技術を開発。独自の薬液と処理システムにより、エッチング速度の縦横異方性を大幅に高めエッチングファクター(配線側面の傾き)の高い(配線の側面が垂直に近い)Cu配線が形成できるようにした。

 これらの結果、厚さ18μmの銅箔で40μmピッチ以下と画期的な微細化を実現。レジスト線幅を実際のCu配線幅よりも太くするという補正作業も不要になる。