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第48回インターネプコンジャパン/第36回エレクトロテストジャパン/第20回半導体・センサパッケージング技術展/第20回電子部品・材料EXPO/第20回プリント配線板EXPO/第9回微細加工EXPO(2019年1月16〜18日)


第48回インターネプコンジャパン/第36回エレクトロテストジャパン/第20回半導体・センサパッケージング技術展/第20回電子部品・材料EXPO/第20回プリント配線板EXPO/第9回微細加工EXPO
メタル膜付きフィルムで新たなプロポーザルが


写真1 フレキシブル有機EL照明デバイスのデモ(山形大学)

1月16〜18日、東京ビッグサイトで開かれた「第48回インターネプコンジャパン/第36回エレクトロテストジャパン/第20回半導体・センサパッケージング技術展/第20回電子部品・材料EXPO/第20回プリント配線板EXPO/第9回微細加工EXPO」。独断と偏見でおもなトピックスをピックアップする。

山形大学がフルフレキシブル有機ELをデモ

 まずデバイス関連では、山形大学有機エレクトロニクスイノベーションセンター 硯里研究室が複数の有機EL照明デバイスを展示し、その優位性をアピールした。目玉はいわゆるフルフレキシブルデバイスで、写真1のように上下方向だけでなく、左右方向にも曲げる圧巻のデモを敢行。有機ELデバイスならフレキシブル化が容易なことを示した。デバイスは厚さ0.1oのPENフィルム(富士フイルム製スーパーハイバリアフィルム)2枚で素子をサンドイッチした固体封止構造で、封止する前に素子全面をフィルム状吸湿材でカバリングした。ちなみに、展示デバイスにはダークスポットがかなりみられたが、「試作当初はダークスポットはほとんどなかったが、後工程や評価などを行っている最中にダークスポットが発生し増殖した。大学の研究室という環境に起因する話で、本質的な問題ではない」とのこと。

Al電極基板を使用すれば有機ELデバイスでITOアノードをレス化すること


写真2 Alメッシュ電極を用いた有機ELデバイス(東洋アルミ)
図1 Alメッシュ電極基板の構造(東洋アルミ)
 マテリアル関連では今回、メタル電極付きフィルムのデモが目立った。まずは東洋アルミで、有機EL照明デバイスや有機薄膜太陽電池向けとしてAlメッシュ電極をアピールした。構造は図1の通りで、あらかじめAl箔をウェットエッチング法でパターニングしたAl電極を独自プロセスによって樹脂層に埋め込んだのが特徴。その表面平滑性はRa=10nmクラスで、元来Alなので1Ω/□以下という低抵抗が得られる。このため、有機ELや有機薄膜太陽電池のアノード補助電極として用いれば、ITOに代わってPEPOT/PSSなどの導電性ポリマーをアノードに使用することができる。さらに、デバイス周囲の接続配線もAl電極として一体形成することも可能で、この場合、ACF(異方導電性フィルム)レスでICチップとダイレクト接続することも可能と考えられる。もちろんAl自体は薄膜なので、サブストレートにプラスチックフィルムを用いればフレキシブル化も容易だ。

 同社はこの3層構造フィルムを供給する計画で、ブースでは写真2のように山形大学有機エレクトロニクスイノベーションセンターが試作したITOアノードレス有機ELデバイスを展示。現時点では最大500o幅に対応可能で、気になるコストもコンベンショナルなITO膜付きフィルムに比べリーズナブルだという。

車載向けとして信頼性の高いAgナノワイヤーフィルムが
 

写真3 Agナノワイヤー透明導電フィルム(昭和電工)
図2 高温高湿環境における比抵抗変動(昭和電工)
 一方、昭和電工は車載機器のタッチパネル向けとして耐候性・耐光性に優れるAgナノワイヤー透明導電フィルムをアピールした。独自開発したAgナノワイヤーを用いたフィルムで、代表的なスペックはシート抵抗値が35〜40Ω/□、全光線透過率が90%、ヘイズが0.9%。つまり、基本特性は先行する米国メーカー製品と同レベル。特徴はAgナノワイヤー層やオーバーコート層に用いている独自樹脂で、この結果、競合製品を大幅に上回る信頼性が得られるという。図2は85℃/85%RHという高温多湿環境におけるシート抵抗値の推移で、昭和電工製はシート抵抗値がほとんど変化しないのに対し、比較した競合リファレンスはシート抵抗値が大きく変動し、高温高湿環境では事実上使用できないことがわかる。ちなみに、Ag層はコンベンショナルなウェットエッチング法やレーザーダイレクトパターニング法によってパターニングすることができる。

新たなスパッタ法でウルトラフラットネス膜を

 製造装置関連では、キヤノンアネルバがエネルギートリートメントスパッタリング法と名付けた新たな成膜法をピーアールした。半導体の層間膜や有機ELのアノードなどウルトラフラットネス性が求められる用途向けで、イオンなどのアシストを得ながらスパッタリング成膜することにより膜を柱状成長させずにフラットに堆積させる。つまり、基板上でのグレイン成長を阻害しながら成膜するといったイメージだ。実際に膜厚200nmのAl膜上にSiO2膜を膜厚700nmで成膜したところ、コンベンショナルなスパッタリング法ではSiO2膜の表面平滑性はRa=3.73nmだったのに対し0.24nmと劇的に向上。さらに、厚膜化してもクラックがほとんど発生せず、さらに段差形状にもクラックレスでステップカバレッジ性よく堆積するという。ちなみに、そのメカニズムから成膜レートは低下するが、例えばセンシティブな下層との界面はストロングアシストで成膜し、その後はウィークアシストで成膜すれば成膜レートの低下をミニマム化することができる。
 
局面形状にも対応するスクリーン印刷機が登場


写真4 曲面印刷サンプル(マイクロ・テック)
 スクリーン印刷機メーカーのマイクロ・テックは、What's Newとして局面対応スクリーン印刷機「MTV-850sシリーズ(印刷エリア300×630o)」をリリースすることを明らかにした。凹型または凸型にカーブしたワークに合わせ、あらかじめ加工したステージとRガイドを搭載したマシンで、スキージのアタック角度を常に75度で維持しながら連続印刷できるようにした。このため、コンベンショナルなフラットワークに印刷する際と同じ膜厚均一性が得られる。写真4は額縁に黒色ペーストを印刷したサンプルで、やはり車載用途をメインターゲットにしているようだった。

 


REMARK
1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。
2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。

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