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PV EXPO 2013(2月27日〜3月1日)



写真1 フレキシブル有機薄膜太陽電池(伊藤電子工業)

PV EXPO 2013 ADEKAが太陽電池用マテリアルでWhat's NEWを

 2月27日〜3月1日、東京ビッグサイトで開かれた「PV EXPO 2013〜第6回国際太陽電池展〜」。ここでは、有機系太陽電池に関するトピックスをレポートする。

 有機系太陽電池はほとんど出展がなかったなか、高分子有機ELパネルをはじめ有機エレクトロニクスデバイスを生産する伊藤電子工業が唯一有機薄膜太陽電池を展示した。公開したのは100×100oサイズの塗布型デバイスで、p型半導体に山形大学が合成した独自材料、n型半導体にコンベンショナルなPCBMを使用。これらを有機溶媒に溶解させて塗布してバルクヘテロ接合型半導体層を形成した。気になる光電変換効率は3〜4%。ブースではガラス製デバイスに加え、ポリカーボネートフィルムをサブストレートに用いたフレキシブルデバイスも披露。同社の有機ELパネルと組み合わせ、日中に発電した電力で夜間に有機ELを光らせるというシステムを提案していた。

ADAKAが太陽電池用マテリアルでトピックスを連発
 
  マテリアル関連では、ADEKAがWhat's NEWを連発。まずは有機薄膜太陽電池用p型ドナー材料で、n型材料であるPCBMと混合してバルクヘテロ接合半導体層にする仕組み。このドナーポリマー自体が赤いため、カラフルな赤色太陽電池が容易に作製できる。表1のように光電変換効率はコンベンショナルなP3HTデバイスの3.2%に対し3.7%と高いのが特徴だ。

特性
Jsc
Voc
FF
η
P3HT
8.9mAcm2
0.57V
0.62
3.2%
ADEKAポリマー
9.1mAcm2
0.87V
0.46
3.7%

表1 試作デバイスの特性比較(ADEKA)

 同社は各種太陽電池向けとして独自の波長変換材料もアピール。通常のUV吸収材料の代わりに封止樹脂にドープして封止膜として使用するもので、360〜380nm領域のUV光を500nm前後の可視光波長に変換する役割を担う。つまり、本来、活性層が吸収しにくい波長を有効利用することができる。その量子収率は約80%で、太陽電池デバイスの光電変換効率も数%アップするという。もちろん、有機色素であるため封止樹脂への溶解性も良好で、シリコン太陽電池はもちろんのこと、化合物太陽電池や有機系太陽電池などすべての太陽電池に使用することができる。


REMARK
1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。
2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。

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