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PV EXPO 2012(2月29日〜3月2日)



写真1 超大型フレキシブル有機薄膜太陽電池(Konarka)

PV EXPO 2012 有機薄膜太陽電池がKonarkaが孤軍奮闘
新たなナノAgワイヤー透明導電フィルムにポストITOの予感が

2月29日〜3月2日、東京ビッグサイトで開かれた「PV EXPO 2012-第5回国際太陽電池展-」。展示会スペース自体は東ホールの半分、併設展示会も合わせると東ホール、西ホールすべてと巨大だが、昨年12月に類似展示会があったためか、What's NEWは少なかったように感じた。有機太陽電池を中心にトピックスをレポートする。

 まず有機太陽電池デバイスは色素増感太陽電池、有機薄膜太陽電池ともデバイスの出展がほとんどなく実用化機運もいまひとつ盛り上がっていないように感じた。そんななか、現時点で世界唯一の有機薄膜太陽電池メーカーである米Konarka Technologiesが孤軍奮闘。プラスチックサブストレートベースの高分子有機薄膜太陽電池「Konarka Power Plasticシリーズ」を展示し、340o幅モデル「20シリーズ」、676o幅モデル「40シリーズ」と製品ラインアップが整っていることを誇示した。従来、同社は鞄一体型をはじめモバイル向けとしておもに提案してきたが、今回は前記の標準グレードを縦方向に直列配置した超大型フレキシブルデバイスをアピール。窓ガラスと一体化した建築用途やビニールハウス用途といった大型アプリケーションをターゲットにする姿勢を鮮明にした。とくに、後者ではデバイス自体が半透明で波長350〜750nmを透過するため、農作物の光合成を阻害することがないという。説明員は“変換効率自体はシリコン系に比べ低いが、発電出力は温度や光照度に影響されにくいため、1日のトータル発電出力はシリコン系よりも高い”と主張。こうした太陽電池の主戦場でもマーケットを侵食できることを強調していた。


写真2 ZnO型色素増感太陽電池の駆動デモ(東海商事)

ウェットプロセスを多用して安価な色素太陽電池を

  一方、色素太陽電池はデバイスメーカーの出展がなく、今回に限ってはテクノロジーの進歩が感じられなかった。そうしたなか、唯一に近いトピックスは東海商事のZnO型色素増感太陽電池で、同社をはじめ民間の製造装置メーカーや材料メーカーでつくる「新エネルギーソリューション実用化検討会」が試作したZnO型色素太陽電池を出展した。最大の特徴はITO透明電極以外、スクリーン印刷法を中心にオールウェットプロセスで作製したこと。具体的には、ITO透明電極はスクリーン印刷したエッチングレジストインクをマスクにしてパターニング。さらに、Agペースト、PEDOT/PSS触媒ペースト、ナノサイズのポーラスZnOペースト、シール層用エポキシ樹脂ペーストもスクリーン印刷。また、非Ru系有機色素は浸漬法でZnO半導体層に吸着させた。サブストレートはPENフィルムを使用。プロセス温度は最高135℃に抑制した。展示したのは100×100oサイズで、写真2のように室内照明でも時計が駆動できることをアピール。ウェットプロセスを用いれば色素増感太陽電池がローコストで生産できることを示した。ちなみに、変換効率は3.5〜6%とのこと。

ナノAgワイヤーフィルムの存在感が一段とアップ


写真3 塗布型透明導電フィルム(DIC)
製品
Nano Clear
ITOフィルム
表面抵抗値
150Ω/□
50Ω/□
150Ω/□
全光線透過率
91.9%
91%
86.9%
ヘイズ
0.9%
1.2%
0.8%
黄色度
1.5
2.0
2.8

表1 透明導電フィルムの特性比較(DIC)

 太陽電池向けに限った話ではないが、デバイス用インフラではDICがWhat's NEWを演出。ポストITOフィルムとして塗布型透明導電フィルム「Nano Clear」を展示した。PETフィルム上にUV硬化型樹脂に分散させたナノAgインクを塗布してUV硬化させたもので、ナノサイズAgがワイヤー状となってランダムネットワーク構造になるのが特徴。類似品としてナノAgが規則的にマトリクス化するものがあるが、説明員は「規則的にネットワーク化すると異方性が出てしまい光学的にもムラが出やすい」と説明。ランダムネットワークが透明導電フィルムには最適だという。標準特性は表1の通りで、全光線透過率は91%以上とITOフィルムを凌駕。表面抵抗値も高導電タイプはITOフィルムの1/3に過ぎない。もちろん、フレキシブル性も高く、Roll to Roll生産にも対応可能だ。今回展示したのは500o幅だが、1000o幅対応の量産ラインを導入。グラビア印刷法でダイレクトパターニングした透明電極付きフィルムも出荷可能で、この場合、ミニマム50μmクラスまでのファイン化が可能だという。一方、ユーザー自らがパターニングする場合はベタフィルムで出荷する形で、塩化鉄や王水でウェットエッチングできる。

透明ポリイミドフィルムも登場


写真4 40μm厚フレキシブルガラス(NEG)

 サブストレート関連では、米DuPontが“ガラス代替”をターゲットに透明ポリイミドフィルムを参考出展した。詳細な組成は明らかにしなかったが、Tg(ガラス転移点)は320℃と高く、通常のPIフィルム並みの耐熱性を誇る。厚さは25μmで、もちろんRoll to Roll生産にも対応可能だ。ただ、線膨張係数が47ppm/℃と高いため、高温処理プロセスが必要なデバイスには適用しにくいように感じた。

フレキシブルガラスは板厚が40μmに

 他方、日本電気硝子(NEG)はフレキシブルデバイス向けとしてロール状のフレキシブルガラスを展示した。同社がフレキシブルガラスを展示するのは近年の展示会では恒例といえるが、今回は40μm厚と世界最薄のフレキシブルガラスを披露。従来と同様、オーバーフロー法によってダイレクト成形したもので、ブースでは写真4のようにローリングデモを敢行。見た目はまさにフィルムといえ、インパクト抜群に見えた。


REMARK
1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。
2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。