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セミコン・ジャパン2011(12月7日〜9日)


セミコン・ジャパン2011 JAPERAが有機TFT駆動の6型VGA電子ペーパーを初公開


写真1 有機TFT駆動QR-LPD(JAPERA)

 12月7日〜9日、幕張メッセで開かれた「セミコン・ジャパン2011」。プリンタブルエレクトロニクスという観点からトピックスをレポートする。

 まずは展示会場の特設コーナーで存在感を放っていたのが「次世代プリンテッドエレクトロニクス技術研究組合(JAPERA)」。産業技術総合研究所と民間企業28社が設立した研究組織で、その目的は印刷デバイス技術とフレキシブルデバイス技術を開発することにある。

 ブースではマイクロコンタクトプリント法、インクジェットプリンティング(IJ)法、スクリーン印刷法などのプリンティング技術を多用して作製した有機TFTやRFIDを展示。What's NEWは大日本印刷が試作した有機TFT駆動の電子ペーパー(QR-LPD:Quick Response-Liquid Powder Display)で、モノクロながら6型VGAに高精細化した。有機TFTはコンベンショナルなボトムコンタクト構造で、電極はAg、有機半導体は独自開発のポリマー、画素電極はAgナノワイヤーを用いるなどオールウェットプロセスで作製した。キャリアモビリティは0.1cm2/V・sと低めだが、6型VGAの電子ペーパーをドライブするには十分だという。近い将来、大日本印刷が自社ブランドで有機TFT駆動QR-LPDをリリースする予定だが、展示品は写真1のように線欠陥がみられるなど完成度はいまひとつだった。

ADEKAは非粒子系インクをPR

 材料メーカーでは、ADEKAが新たな配線材料として非粒子系メタルインクをアピール。メタルプリカーサ材料を有機溶媒に溶解させたもので、大気中でも安定で使いやすいのが特徴。とくに、粒子系インクではノズル目詰まりが懸念されるIJ法に適しており、基板に塗布後、不活性ガス雰囲気で250℃×20分焼成するとメタル膜になる。ただ、有機成分が若干残るため、比抵抗はバルク値よりも1桁程度上昇する。すでにCu、Ni、Moインクを開発済みで、配線材料だけでなく、電解メッキのシード層にも使用できるとしている。

全光線透過率
93%
ヘイズ
0.4%
屈折率
1.47
位相差
1nm
吸水率
0.3%
線膨張係数
40〜45ppm/℃

表1 透明プラスチックフィルムの特性(東ソー)


写真2 IJ塗布したCu膜(ADEKA)

 同社は同様のコンセプトのZnOインクも提案。当初は透明導電膜用途を想定していたが、残留有機成分の影響からか導電性がほとんど発現しないため、現在は半導体膜をターゲットに開発中。各種ウェットコート法で塗布した後、大気中で200℃焼成するとZnO膜となる。膜の可視光透過率は87%と高く透明性という面ではノープロブレムだ。ただ、IZOインクではさほどインパクトがないため、潜在ニーズが高いIGZO(In-Ga-Zn-O)インクやGZO(Ga:IZO)インクも開発中だという。

新たな透明フィルム基板が

 フレキシブルデバイスのインフラでは、東ソーが独自の透明プラスチックフィルム基板を展示。組成はシークレットだが、全光線透過率93%と高い透明性を保持しながら220℃という耐熱性を確保した。もちろん、ニーズによって基板上にハードコート、バリア膜、透明導電膜を形成することが可能。ただ、表1のように線膨張係数はさほど低くなく、インパクトはいまひとつに感じた。


REMARK
1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。
2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。