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FPD International 2010(11月10日〜11月12日)


FPD International 2010 グラスレス3D液晶テレビの実用化が秒読み段階に
アクティブ有機ELテレビも3D化がメインストリームに
電子ペーパーはカラーパネルがマーケットに登場

 11月10〜12日、幕張メッセで開かれた「FPD International 2010」。CEATEC JAPAN 2010に続き、やはりメインテーマは3Dテレビ&モニターで、次世代3Dの本命とされるメガネレス方式に注目が集まった。また、次世代アクティブ素子といわれる酸化物TFTは70型TFT-LCD、30型有機ELディスプレイ、フレキシブル電子ペーパーが公開されるなど実用化が秒読み段階になってきた。おもなトピックスをピックアップする。

 まず3Dだが、周知のように3D専用グラスを用いる3D対応FPDテレビはすでに店頭に並びコンシューマーにもかなりオーソライズされている。今回の展示会でも各社ともその完成度はきわめて高く、どれもWonderfulというレベル。そこで、ここでは次世代3Dテレビであるグラスレス3Dパネルについてみてみたい。


写真2 グラスレス3D TFT-LCD(日立ディスプレイズ)

写真1 3.8型グラスレス3D TFT-LCD(シャープ)

 そのグラスレス3D方式だが、ここにきてパララックスバリア方式とレンチキュラー方式に大別されつつある。前者はパネルの前面に液晶シャッターなどのパララックスバリアを設けるとともに、画素を右目用と左目用に分割して3D化する。総じて中小型アプリケーションに適する。

 この方式のパネルを展示したのはシャープと日立ディスプレイズで、シャープは10.6型と3.8型パネルを公開。液晶によってアクティブシャッターをONにすると3D画像、OFFにすると2D画像が表示できるという2D/3D切り替えできるのが特徴。一方、日立ディスプレイズは3.1型パネル(480×854画素)と4.2型パネル(600×1024画素)を展示。こちらもアクティブバリア液晶を用いた2D/3D切り替え方式を採用している。ただ、両社のパネルとも正面方向しか3D感覚が得られず、パララックスバリア方式の限界がみられた。

大型アプリケーションはレンチキュラー方式に


写真4 21型グラスレス3D TFT-LCD(TMD)

写真3 グラスレス3Dレグザ(東芝)

 他方、後者のレンチキュラー方式はパネルの前面にカマボコ型のレンチキュラーレンズを設けるとともに画素を視差数に合わせて8〜9分割する仕組みで、テレビなどの大型アプリケーションに適している。

 今回、この方式でもっとも目立っていたのが東芝モバイルディスプレイ(TMD)。周知のように、年内に東芝がテレビでは世界初となるグラスレス3Dテレビ「グラスレス3Dレグザ12GL1」を発売するためで、他社よりも一歩先行していることをアピールしていた。展示したのはレグザ12GL1、12.1型SXGA+パネル、21型パネル(3840×2400画素)。いずれもレンチキュラーシートによって1画素を計9個のRGBサブピクセルに分割。3D表示時の解像度は1/9になるため、アクティブ素子にはファインパターン化が容易な低温Poly-Si TFTを用いた。製品レベルのレグザ12GL1は解像度が466×350画素とかなり粗いだけに完成度はいまひとつといった印象。一方、参考出展のTFT-LCDモジュール二つは高精細で3D臨場感も高く感じた。


写真6 55型グラスレス3D TFT-LCD(Samsung)

写真5 47型グラスレス3D TFT-LCD(LG Display)

 海外勢ではLG Display、Samsung Electronics、AU Optronicsがレンチキュラー方式を採用。LG Displayは47型フルHDパネルを展示した。視差は九つで、視認距離は2〜3m。3D表示時の解像度は426×540画素。3D特有の違和感はほとんどなく、斜め方向からも3D感覚が認識できた。

 Samsung Electronicsも9視差の55型フルHDテレビを公開。最適視認距離は3.8mだが、3D感はいまひとつに見えた。スペックは輝度500cd/m2、コントラスト4000:1で、もちろん2D画像と3D画像を切り替えることができる。

 AU Optronicsは8視差の65型QFHD(3840×2160画素)を披露。視認距離は2〜5mで、こちらはかなり高い臨場感が高いように感じた。

SamsungとChimei Innoluxがエッジライト方式のローカルディミングを紹介

 ここにきて液晶テレビのメインストリームモデルになってきたLEDバックライト搭載TFT-LCD。LEDバックライトの搭載方式は直下型とサイドライト型(エッジ型)に大別されるが、今回は表示画像に合わせてエリア毎に輝度を制御するローカルディミングを採用したエッジ型のデモが目立った。パネルの左右にLEDを配置し、光直進性を高める拡散フィルムを用いるとともにLEDをスキャン点灯させてエリア毎に輝度をコントロールする仕組みで、Samsung ElectronicsとChimei Innoluxがパネルを公開した。


写真8 65型TFT-LCD(Chimei Innolux)

写真7 55型TFT-LCD(Samsung)

 Samsung Electronicsは55型フルHDテレビを展示。ローカルディミングによって消費電力を25%削減するとともに、4倍速駆動によりMPRT3msecに高速化した。ブースでは実際の消費電力を表示。明るい画像では100Wクラス、暗い画像では30Wクラスを示すなど効果的な省エネデモを敢行した。もちろん、ローカルディミングによりコントラストも10万:1に高めた。

 他方、Chimei Innoluxは3D対応の46型/65型フルHDテレビを披露。長辺方向のエリアブロック数は10個で、エッジ型にすることによりモジュール厚を約10oに薄型化した。アクティブシャッターグラスを480Hz駆動、VA(Vertical Aligned)パネルを240Hz駆動にすることによって3D化するとともに、4倍速駆動によりMRPTを4.5msecに高速化した。

IGZO-TFTで超大型パネルを4倍速駆動

 4K2Kに代表される超高精細TFT-LCDはシャープとSamsung Electronicsがデモ。シャープは60型QFHD(3840×2160画素)パネルを公開した。画素ピッチは0.35oで、4K2Kだけに顔を近づけてもドットが認識できないレベル。バックライトには直下型の白色LEDを採用し、コントラスト4500:1を確保した。ブースでは絵画や医療画像などを表示。近い将来、ハイエンドマルチモニターとしてリリースする考えだ。


写真9 60型TFT-LCD(シャープ)

写真10 70型IGZO-TFT-LCD(Samsung)

 一方のSamsung Electronicsはa-Si TFT、低温Poly-Si TFTに次ぐ第3のアクティブ素子とされるIGZO(In-Ga-Zn-O)駆動の70型TFT-LCDを披露した。もちろん、酸化物TFTを用いたパネルとしては世界最大サイズだ。解像度は3800×2168画素で、コントラストは10万:1、輝度も500cd/m2を確保した。最大の特徴は240Hzの4倍速駆動と高速応答液晶によって応答速度をMPRT4msecに高速化したこと。このサイズで4倍速以上にするとコンベンショナルなa-Si TFTではモビリティが低いためドライブが困難になることから、モビリティが10cm2/V・sec前後と高いIGZO-TFTを用いた。さらに、このパネルはアクティブシャッターメガネ+時分割方式によって3D化。この方式でa-Si TFT駆動するとクロストークが起きやすいが、IGZO-TFTによってクロストークも低減した。ただ、IGZO-TFTに起因する表示ムラが認識されるなど出来栄えはいまひとつだった。


写真11 10.1型TFT-LCD搭載ノートPC

基板にプラスチックフィルムを用いて薄型軽量化

 パネルの薄型軽量化という点では、Samsung ElectronicsのプラスチックTFT-LCDが人気だった。前面基板、背面基板ともガラスに代わって厚さ0.09oのプラスチックフィルムを用いたもので、展示した10.1型ワイドSVGAパネル(1024×600画素)は厚さ0.44o、重さ28gに薄型軽量化した。ちなみに、従来のガラス製パネルの厚さは1.26o、重さは130gである。バックライトユニットを含めたモジュール厚も1.8oに過ぎず、写真11のようにかなり薄いことがわかる。プラスチックTFT-LCDで問題となるプロセス温度は220℃以下に抑制。スペックも輝度250cd/m2、コントラスト1000:1、色純度50%(NTSC比)とモバイル用パネルとしては既存のガラス基板製パネルと同等だった。

映画専用のウルトラハイアスペクト比モニターも登場


写真12 58型TFT-LCD(シャープ)

 オリジナリティという観点では、シャープのウルトラハイアスペクト比58型TFT-LCDがユニークだった。そのアスペクト比は21:9で、映画鑑賞に最適だという。画素数は2560×1000で、4倍速駆動により動画もナチュラルに表示できる。ただ、映画専用モニターになるだけに用途が映画関係の業務用や富裕層の趣味的モニターに限られるのではと質問したところ、説明員も「その通りです」と苦笑いしていた。スペックは輝度450cd/m2、コントラスト500:1で、映画を表示していたこともあって暗いように感じた。

有機ELDは今年もSamsung Mobile Displayが圧倒的な存在感を

 有機ELDは今年もトップメーカーのSamsung Mobile Displayが圧倒的な存在感を誇示した。量産品から開発品まで数多くの展示物のなか、次世代テクノロジーとしてもっとも強いインパクトを与えたのが写真13の曲面状フレキシブルパネル。サブストレートにプラスチックフィルムを用いるとともに、米Vitex Systemsの有機&無機のハイブリッドマルチレイヤーで薄膜封止することにより、これまでの常識では考えられなかった曲面形状を実現した。展示したのは2.8型パネル(240×400画素)と4.5型ワイドVGAパネル(800×480画素)で、低温Poly-Si TFT駆動によるトップエミッション構造を採用。もちろん、輝度250cd/m2、コントラスト10万:1、色再現性100%(NTSC比)とハイスペックだ。まだ開発段階だが、メインアプリケーションはハイエンドスマートフォンを想定している。


写真14 5.3型フォルダブル有機ELD(Samsung Mobile Display)

写真13 4.5型フレキシブル有機ELD(Samsung Mobile Display)

写真15 14型透明有機ELウィンドウ(Samsung Mobile Display)

 斬新という意味では、3.97型パネルを2枚使った5.3型フォルダブルパネル(960×540画素)も人気だった。写真14のようによくみるとパネルの継ぎ目が3本見えるが、やはり折り畳めるというコンパクト性を備えた大画面化のメリットは絶大にみえた。

 いまやお馴染みになった透明有機ELDは14型パネル(960×540画素)を披露。画素内にブランク領域を設けて背面を透かす仕組みで、開口率は20.3%、透過率は38%を確保した。写真15のように透明有機ELウィンドウケース内にスマートフォンなどを配置してその透明性をアピール。アドバタイジングディスプレイやウィンドウディスプレイに最適なことを示した。


写真17 31型3D有機ELD(LG Display)

写真16 14型3D有機ELD(Samsung Mobile Display)

 前記のフレキシブルパネルと並ぶ目玉だったのが14型3Dテレビ(960×500画素)。3D化方法式はアクティブシャッターグラス+時分割方式とみられ、アクティブ素子にはIGZO-TFTを用いた。このため、コンベンショナルな低温Poly-Si TFT駆動では大型パネルで問題となる輝度ムラを低減した。ただ、線欠陥、点欠陥とも多数認識されるなど完成度は不十分だった。

LG Displayは31型3DパネルをPR

 一方、LG Displayは3.2型(360×640画素)と31型(フルHD)の3D有機ELDを展示。圧巻だったのは31型パネルで、TFT-LCDも含め今回展示されたすべてのFPDでもっともきれいにみえた。もちろん、輝度500cd/m2、コントラスト10万:1以上とハイスペックだ。3D化方式は円偏光グラスとパターン化位相差フィルムを採用。クロストークを0.6%に抑えた。いうまでもなく、この方式では3D表示時の解像度は1920×540画素に落ちるが、それが気にならないぐらいの出来栄えだった。


写真19 照明用白色有機EL(AUO)

写真18 14型3D有機ELD(AUO)

AUOは3Dパネルと照明デバイスで再参入

 来年から有機ELD市場に再参入するAUOは14型3Dパネルを披露。低温Poly-Si TFT駆動によるRGB独立発光方式のボトムエミッション構造で、輝度は200cd/m2、コントラストは10万:1。アクティブシャッターグラス+時分割方式によって3D化するため、3D表示時でもフルHD解像度が得られるのが特徴。ただ、線欠陥がみられたほか、色純度も低いなど、まだプロダクトレベルには達していないようにみえた。

 ちなみに、AUOは今回初めて照明用白色有機ELも展示、照明デバイス市場に参入することを表明した。発光エリアサイズは245×295oで、暖白色タイプ、ピュア白色タイプ(CRI:>80)、高効率タイプ(50lm/W)をラインアップ。いずれも厚さは1.6oで、輝度は1500cd/m2を確保した。

車載用ならモノクロ有機ELDでも出番がある?


写真20 7.4型モノクロ有機ELD(日本精機)
※写真では青く見えるが、実物は高階調モノクロ画面

 これら海外勢に対し、国内メーカーでは日本精機がカシオ計算機と凸版印刷の合弁会社「オルタステクノロジー」と共同開発したアクティブマトリクス駆動モノクロ有機ELDを参考出展した。低分子パッシブマトリクス有機ELDを量産している日本精機の蒸着技術と、オルタスのTFT&高分子有機ELD技術を組み合わせた成果で、7.4型(960×540ドット)、4型(480×272ドット)、2型QVGAを試作。7.4型パネルは768階調、その他は256階調に多階調化した。構造はコンベンショナルなボトムエミッションで、ハイレゾリューションかつハイコントラストということもあり完成度は抜群だった。カシオのTFT技術をベースにしているため、当然a-Si TFT駆動とみられたが、実際には低温Poly-Si TFT駆動だという。その理由について説明員は明言しなかったが、Vthシフトが大きいという有機ELD用a-Si TFTの根本的な課題が解決できていないためと推測される。いまさらモノクロパネルという素朴な疑問が依然として残るが、この点について説明員は「今回の展示会で車載計器用ならモノクロパネルでもいいかどうかという潜在ニーズを探るため」と説明。あくまでもマーケットニーズを探るための出展であることを強調していた。

ブリヂストンが電子ペーパーのラインアップを大幅に拡充

 デバイス別でみると、今回もっともムーブメントが感じられたのが電子ペーパー。電子ブックや電子棚札への量産採用が進むとともに、課題だったカラー化も開発がほぼ完了した形で、今後、加速度的にマーケットが拡大するのは間違いない。


写真21 カラー電子ペーパー(ブリヂストン)

写真22 デジタルカラーサイネージ(ブリヂストン)

写真23 4.1型フレキシブル電子ペーパー(ブリヂストン)

 とくに目立ったのが、帯電トナーに独自の電子粉流体を用いた粒子移動型電子ペーパー「QR-LPD(Quick Response-Liquid Powder Display)」を製品化しているブリヂストン。モノクロパネルは21.4型(1920×2560ドット)、13.1型(UXGA)、8型(960×720ドット)、7.7型(320×480ドット)、4.1型(QVGA)をラインアップ。前面基板上にマイクロカラーフィルタ(CF)を設けた4096色カラーパネルも21.4型(960×1280画素)、13.1型(SVGA)、8型(480×360画素)とラインアップを拡充。さらに、サブストレートにPETフィルムを用いてRoll to Roll方式で生産するフレキシブルモデルも4.1型QVGAパネルを開発。Delta Electronics(台湾)のビジターカードに量産採用されることが決まった。アプリケーション開発では、21.4型カラーパネルを計9枚タイリングしたデジタルカラーサイネージを提案。数十秒間隔でカラー画像が書き換えられる点は大きな武器で、既存の電飾看板などをリプレースする日も近いように感じた。そのほか、10型フレキシブルカラーパネルも公開するなど、ここにきて先行していたE Inkをキャッチアップした印象を受けた。


写真24 9.68型カラー電子ペーパー(E Ink)

E Inkもカラー電子ペーパーが量産採用

 これに対し、E Ink Holdings(台湾)は前面基板上にマイクロCFを設けた9.68型カラーSVGAパネルを中心にマイクロカプセル型電気泳動ディスプレイをデモ。こちらも4096色が表示可能で、昨年に比べ完成度を高めた印象。最大のニュースはこのパネルを搭載した世界初のカラー電子ブックがHanvon Technology(中国)からリリースされることで、ブースに実機を展示。厚さは11.2mm、重さはバッテリー込みで554gと薄型軽量とは言い難かったが、やはりカラー化のインパクトは大きいように感じた。

AUOは酸化物TFT駆動やGOAでテクノロジーを誇示

 米SiPixを買収して電子ペーパー事業に進出したAU Optronicsも存在を誇示。パッシブ駆動パネルは電子棚札用として2型(172×72ドット)、2.9型(230×90ドット)、4.2型SVGA、6型SVGAを展示した。いずれも1チップ駆動で、反射率は25〜30%。一方、アクティブ駆動の電子ブック用は6型SVGAと9型XGAパネルを披露。こちらは16階調が表示でき、コントラスト6:1を確保した。また、オリジナルテクノロジーとしてサブストレートにPETフィルムを用いた湾曲形9型XGAパネル、ゲートドライバ回路をガラス基板上にビルトインした6型GOA(Gate Driver on Array)パネルを開発。後者はGOAによってSVGA解像度でも1チップ化してローコスト化するとともに、接続信頼性を高めた。


写真26 酸化物TFT駆動の6型電子ペーパー(AUO)

写真25 6型GOAパネル(AUO)

 さらに、同社は酸化物TFT駆動の6型フレキシブルパネル(SVGA)も展示。TFTはボトムゲート&ボトムコンタクト構造だが、酸化物半導体が何であるかは明らかにしなかった。フレキシブル化に当たってはPETフィルムをサブストレートに使用。PETをガラスキャリアに固定するとともにプロセス温度を最高180℃に抑制した以外は既存の製造プロセス技術で生産できるという。パネルのスペックは反射率33%、コントラスト6:1で、欠陥が多く、まだ実用化には時間がかかるようにみえた。

富士通フロンテックは自社の電子ペーパー情報端末をPR

 これらトナー型電子ペーパー陣営に対し、富士通は富士通フロンテックのコレステリック液晶型カラー電子ペーパー情報端末「FLEPia Lite」を展示した。画面サイズは8型XGAで、4096色が表示できる。RGBそれぞれのコレステリック液晶層を設けたポリカーボネートフィルムを3層積層した構造で、ブースでは上下のITO電極でサンドイッチしたRGB液晶層それぞれのフィルムも展示した。基本的に前面基板上にマイクロCFを設けるトナー型カラー電子ペーパーに対し、カラー化しても輝度が低下しないのが特徴で、最近の成果としてコントラストを7:1、書き込み速度を0.7秒に改善した点をアピールしていた。

エッジライトからの光直進性を高めた導向板や拡散制御フィルムが登場


写真28 拡散制御フィルムの表面構造(旭化成)

写真27 サイドライトBL用導光板(三菱レイヨン)

 FPD部材では、まず前記のエッジ型スキャンLEDを用いたローカルディミング液晶テレビ向けマテリアルの提案が目立った。まず、三菱レイヨンは導向板の長辺方向にレンチキュラーレンズを設けたレンチキュラーレンズ付き導向板を紹介。パネルの両側に配置した白色LEDからの光直進性が向上し、LEDを部分点灯する際に局所的に均一発光するためコントラストが向上。ローカルディミング時のエリアブロック間におけるクロストークも低減するという。

 旭化成も写真28のように表面形状を加工した拡散制御フィルムを紹介。白色LEDからの光広がり角度は通常21度程度なのに対し、このフィルムを用いると6度に低減できる。ブースではこの拡散制御フィルムとレスフィルムのバックライトユニットを展示。フィルムありでは縦方向に漏れる光が少なく、ローカルディミングに適していることを誇示していた。

TFTやCFでもロータリーターゲットが量産採用へ


写真29 大型基板用ロータリーターゲット

 ここにきてTFTアレイやCFで採用機運が高まっているロータリースパッタリングターゲットでは、Umicoreが第8.5世代用ITOターゲット、第11世代用AZO(Al-ZnO)ターゲットなどを公開。写真29のように第11世代ターゲットの長さは実に3.5mに達する。標準的な厚みは6oと10o。すでにCIS系太陽電池や薄膜太陽電池ではAZOターゲットが量産採用されており、TFTアレイやCFでもITOターゲットが量産採用の最終検証に入っているという。気になる価格はコンベンショナルなプレーナーターゲットの約3倍。しかし、@利用効率が80%とプレーナーターゲットの約2倍、Aターゲット交換時間が減りスパッタリング装置のダウンタイムが短くなる、Bハイパワーがかけられるため成膜レートが向上する、CITO成膜時にプレーナーターゲットで問題となるノジュールが発生せず歩留まりもアップする、といったメリットを考えると、トータルの成膜コストは1/2以下になるとしている。

新たな有機絶縁膜用ポジレジストを有機ELの隔壁やTFTのパッシベーションに


図2 60℃/90%RH環境におけるリーク電流(日本ゼオン)

図1 アウトガスの比較(日本ゼオン)

 FPD製造インフラでは、日本ゼオンが有機絶縁膜用ポジ型フォトレジスト「ZEOCOAT」をリリースしたことをアナウンス。組成はシークレットだが、可視光透過率はコンベンショナルなアクリル樹脂と同様、100%近く(膜厚2μm時)、耐熱性も5%重量減少が351℃と高い。さらに、吸湿性や絶縁性にも優れる。まずは有機ELDの隔壁(バンク)向けとして「ZEOCOAT CPシリーズ」をリリース。すでに大手アクティブパネルメーカーでの量産が決まっているという。図1はO2プラズマ処理(ガス流量10sccm、パワー100W、時間30秒)した後の水分アウトガス特性の比較で、ZEOCOATは処理後も特性が変わらないことがわかる。同社はネックストターゲットとしてTFTのパッシベーションを狙っており、図2のようにリーク電流も無機SiNx膜より低いという。ちなみに、ZEOCOATは塗布〜フォトマスク露光〜現像〜熱硬化というコンベンショナルなフォトリソで塗布・パターニングすることができる。

ダイレクトグラビア印刷向け版も登場


写真31 ダイレクトグラビア印刷のパターン写真:70μm幅(旭化成イーマテリアルズ)

写真30 ADLESS-EL(旭化成イーマテリアルズ) ※上がフレキソ印刷用、下がダイレクトグラビア用

 ここにきて注目されているプリンタブルエレクトロニクス向けのマテリアルでは、旭化成イーマテリアルズが印刷版「ADLESS-EL」を紹介。円筒形のベーススリーブにフォトポリマーを塗布しレーザー彫刻によってパターニングした版で、ポリマーながら低極性ならばほとんどの有機溶媒に対する耐溶剤性を備える。同社は従来から印刷時にインクを凸部につけるフレキソ版(凸版)を紹介してきたが、今回はインクを溝(凹面)に入れて印刷するダイレクトグラビア版(凹版)もアピール。線幅数十μmのパターニングが可能なことを示した。最大1800o幅までの大型版が作製可能で、写真30のようにブースでは1200o幅の版を展示。フレキソ版とグラビア版の使い分けについて説明員は、「フレキソ版は比較的薄膜、グラビア版は比較的厚膜向け」と説明。印刷解像度はどちらも同じで、ワーク、印刷法、インクによって使い分けられることになる。ちなみに、標準価格は1m幅で200万円程度。

蛍光&燐光ハイブリッドの白色有機ELのパフォーマンスが向上

種類
CIE(x,y)
効率
輝度半減寿命
(@初期輝度1000cd/m2)
蛍光
ピュアブルー
0.14,0.12
9.9cd/A
1万1000時間
グリーン
0.29,0.64
37cd/A
20万時間
レッド
0.67,0.33
11cd/A
16万時間
燐光
グリーン
0.33,0.63
64cd/A
20万時間
レッド
0.67,0.33
22cd/A
20万時間

表1 出光興産の最新有機EL材料の特性例

 有機EL材料ではトップメーカーの出光興産が今年も存在感を誇示。開発中の最新材料を用いた素子特性は表1の通りで、アライアンスしているUDCの燐光材料は青色以外、十分実用化レベルになっている。最近、とくに力を入れているのが照明用白色デバイスで、青色蛍光発光層と赤色&緑色燐光発光層の3波長ハイブリッドデバイスでは効率29lm/W、輝度半減寿命5万7000時間が得られたことを報告した。

ナノドットアレイによってFPDの光取り出し効率を改善

 FPDやLEDの発光効率改善に有効にみえたのが王子製紙のナノドットアレイ。シリコンウェハーやガラスといったサブストレート上に粒径ナノサイズのナノ粒子を単層で均一に塗布し、これをマスクにしてドライエッチングし基板表面をナノドット状にパターニングする技術で、写真32のように周期25nm〜5μmの円柱や円錐アレイが作製できる。


写真32 ナノドットアレイの顕微鏡像(王子製紙)

写真33 有機ELの発光デモ(王子製紙)

 その効果を実証するため、まず理化学研究所の協力を得て有機ELへの応用にトライ。有機ELガラス基板をナノドットアレイ状に加工した後、アノード〜有機層〜カソードを蒸着したサンプルを作製した。この結果、ナノドットアレイ加工にすることによってカソードの表面プラズモンエネルギーを光に変換して取り出すことに成功。写真33はリファレンスデバイスとナノドットアレイデバイスの発光電圧を比較したもので、後者は前者に比べ輝度が2倍に向上する。気になるビジネス形態について説明員は「ナノ粒子を単層で均一に並べる技術にノウハウがあるため、単層ナノ粒子マスクを供給するか、もしくはドライエッチングまで手がけてナノドットアレイを形成した基板を供給するかのどちらか」とコメント。ドライエッチング自体にはさほどノウハウがないことを示唆した。

SNU Precisionの有機ELD用薄膜封止装置が量産採用へ

 FPD製造装置では今年も有機EL用蒸着・封止装置のデモが目を引いた。まずは韓国の真空装置メーカー「ANS」を買収したSNU Precision(韓国)で、国内販売代理のマツボーがその製品ラインアップを紹介した。最新の蒸着装置「HELISYS」はラインソースを用いたサイドデポジション方式を採用、基板を垂直搬送しながらインライン蒸着する。膜厚均一性は±3%以内で、第5.5世代マザーガラスにも対応できる。一方、封止装置はVitex Systemsからライセンス供与を受け薄膜封止装置を中心にラインアップ。薄膜封止装置はポリマーと無機セラミックスを交互にマルチスタックする仕組みで、標準的な水分透過性は10-6g/m2/dayクラスを誇る。日本、台湾、韓国、中国、ドイツにパイロット装置を出荷した実績があり、マスプロダクションマシンの受注も時間の問題のようだ。

MgAg+光透過性カソードによりスパッタダメージを抑制するとともに透明パネルに

 他方、長州産業は今年も自ら試作した低分子有機ELパネルを大量に展示。What's NEWはNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「次世代大型有機ELディスプレイ基盤技術の開発プロジェクト」で開発した透明パネルで、アノード/ホール注入層/ホール輸送層/単色発光層/電子輸送層/LiFバッファ層/MgAg/In系光透過性カソード構造の試作パネルを展示。新たにMgAgを挿入することによって光透過性カソードからの電子注入障壁を下げるとともにスパッタリング成膜ダメージを抑制。さらに、In系光透過性カソードを対向スパッタリング法の一種であるミラートロンスパッタリング成膜することによってさらにスパッタダメージを低減した。


REMARK
1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。
2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。