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第9回コンバーティング機材・先進印刷技術展/プリンタブルエレクトロニクス展(4月7〜9日)


第9回コンバーティング機材・先進印刷技術展/プリンタブルエレクトロニクス展
プリンティングテクノジーがさらに進化し解像度、再現性が向上


写真1 ハイブリッド凹版


写真2 Agペーストを印刷したPETフィルム

4月7〜9日、東京ビッグサイトで開かれた「第9回コンバーティング機材・先進印刷技術展/プリンタブルエレクトロニクス展」。ここにきてエレクトロニクス業界で存在感を高めているプリンティングテクノロジーではさらなるファイン化を模索するデモが目立った。おもなトピックスをレポートする。

 まず平版オフセット印刷では、印刷機メーカーの日本電子精機が効果的なデモを演出。プラスチックフィルム基板用のRoll to Roll処理にも、ガラス基板用の枚葉処理にも対応できる印刷機を実機展示した。ブースではガラス基板上にAgペーストを線幅15μmでオフセット印刷し、モニター上に表示。その印刷精度も±2μmを誇る。また、ファイン印刷用インフラとしてシリコンブランケットや進映社のハイブリッド凹版(300×400o)を展示。FPDなどにもファイン印刷が適用できることを示した。

50μmラインを300回連続印刷

 スクリーン印刷関連では、SUSメッシュメーカーのアサダメッシュが線幅50μmのAgパターンを表面処理レスPETフィルムに300回連続印刷することに成功。スクリーンマスクは従来の3倍の強度を誇るSUSワイヤーを用いたスクリーンメッシュ「HS-D500」を使用。強度が高いため、通常の2倍のクリアランスを設けても歪まないのが特徴。ペーストは東洋インキ製造の超高粘度ポリマー型Agペーストを使用、印刷後、130℃で焼成した。また、スクリーン印刷機はミノグループのRoll to Roll対応機を使用し、25秒タクトで間欠印刷した。顕微鏡越しにパターンを目視したところ、スクリーン印刷とは思えないほどシャープがラインが描画されており、その印刷精度には目を見張るものがあった。

塩ビシートにもスクリーン印刷が適用可能

 一方、スクリーン印刷受託メーカーのマナスクリーンはPP繊維を塩化ビニルで被覆したシートにL&S=200μm/3000μmのAgパターンを印刷したエレクトログラフィックタペストリーを展示。サイズは800×1600oで、写真3のように中央にLEDを設置して発光させ実際に通電することを立証。スクリーン印刷ならグラフィック印刷技術とエレクトロニクス印刷技術が融合できることを示した。


写真3 エレクトログラフィックタペストリー

写真4 スクリーン印刷手刷り体験キット

 また、同社はR&Dツールとしてスクリーン印刷手刷り体験キットをリリース。スクリーンマスク、印刷台、スキージ、各種基材、Agペースト、スクリーン洗浄液など必要なものがすべてパッケージングされたオールインワンキットで、文字通り手刷りでスクリーン印刷が体験できる。価格も9万8000円とリーズナブルで、手刷りながら線幅50μmというファインラインが印刷できる。

パターニング可能なダイコーターに新たな用途が

 コンバーテック関連で目についたのが東レエンジニアリングのスリットダイコーター。注目は独自のスリットダイによって図1のようにさまざまなコーティング形状が可能なことにある。つまり、コーターでもある程度のサイズならパターニングができる。そのメカニズムだが、横方向のパターニング、つまり間欠パターンの場合は循環型コーティングユニット内のバルブをON/OFF制御することによって塗布または非塗布をコントロールする。一方、縦方向にパターニングするストライプパターンの場合はスリットダイにメカニカルなシムヘッドを挿入することによって堰止めを作ってパターニングする。間欠塗布で懸念される膜厚均一性も液切り性を改善することによって±5%に高めた。


図1 コーティングパターン

 ブースでは緑色インクを全幅、全幅間欠、ストライプなど各種パターンで塗布したガラスサンプルを展示。ストライプパターンではミニマム2oラインが描画できることを示した。用途はグラフィックからエレクトロニクスまでさまざまだが、FPDではとくにLCDの配向膜印刷に有効と推測される。いうまでもなく、配向膜は通常フレキソ印刷で印刷されるが、マザーガラスの大型化にともないフレキソ版のハンドリングが問題になっており、一部でインクジェット法も量産採用されている。これらに対し、間欠ストライプ印刷なら版レスでポリイミド配向膜が容易に印刷できるため有利と考えれる。


REMARK
1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。
2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。