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JST戦略的創造研究推進事業 新技術説明会〜ライフサイエンス関連〜(2月1日)


JST戦略的創造研究推進事業 新技術説明会〜ライフサイエンス関連〜
ナノコラム径の制御によりRGB一体集積化型マイクロLEDを実現

2月1日、科学技術振興機構(JST)でJST主催による「JST戦略的創造研究推進事業 新技術説明会〜ライフサイエンス関連〜」が開かれた。ここでは、上智大学ナノテクノロジー研究センター研究センター長・特任教授の岸野克巳氏の講演「マイクロLEDディスプレイに向けた三原色LEDの一体集積化技術について」を取り上げる。


写真1 規則配列GaNナノコラムの径と発光の様子1)

 ここにきて新たなディスプレイデバイスとして浮上してきたマイクロLEDディスプレイだが、その実用化には課題も多い。ひとつは既存のInGaN系LEDは青色に比べ緑色、赤色の発光効率が低く、発光効率が高いというLEDの本質的なメリットがフルに活かせないこと。もうひとつは容易に想像できるようにその生産性の低さで、元基板上に作製したRGBそれぞれのLEDシートから微細チップを切り出し、さらにこれをディスプレイ用基板上にRGBサブピクセル毎にピック&プレースで実装するという現在の方法ではとても既存のディスプレイデバイスとは競合できない。そこで、研究グループはこれらの課題をブレークスルーする技術としてRGB-LEDの一体集積化技術を開発した。

 あらかじめ規則的に配列させたInGaN系ナノコラムを用いるもので、ナノコラムの径にって発光色を制御する。具体的には、あらかじめ基板上のTi膜を電子ビーム描画+ICPドライエッチングによってパターニングしてマスキングパターンを形成。この後、InGaNナノコラムをRFプラズマ分子線エピタキシーによって選択的に成長させることによりLED素子を作製する。写真1のモノクロ写真ではわからないが、径143nmでは青色、159nmでは青緑色、175nmでは緑色、196nmでは黄色、237nmではオレンジ色、270nmでは赤色発光している。つまり、可視域全域で発光波長を制御することできる。このため、1回の結晶成長プロセスではさまざまな色が得られ、RGBサブピクセルを周期的に設ければ3波長のディスプレイが実現できる。したがって、製造コストの劇的なリダクションが期待できる。

 研究グループではピクセルサイズ5×5μmのアレイも作製することに成功。マイクロLEDディスプレイ実用化への道がみえたとしている。

参考文献
1)岸野:マイクロLEDディスプレイに向けた三原色LEDの一体集積化技術について、JST戦略的創造研究推進事業 新技術説明会〜ライフサイエンス関連〜関連資料、pp.3-6(2019.2)


REMARK
1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。
2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。

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