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このコーナーではステラ・コーポレーションオリジナルCD-ROMシリーズをベースに業界用語を解説しています。さらに詳細をお知りになりたい方には以下のCD-ROMをお勧めしています。
a-Si TFT-LCD製造プロセスCD-ROM 低温poly-Si TFT-LCD製造プロセスCD-ROM  有機ELディスプレイ製造プロセスCD-ROM
電子ペーパーの構造と製造プロセスCD-ROM  ZnO酸化物TFT製造プロセスCD-ROM  有機トランジスタ製造プロセスCD-ROM  CNT-TFT製造プロセスCD-ROM


AdobeRGB

 Adobe Systemsが提唱している色空間の定義で、sRGBよりも大幅に広い色再現領域を持つ。このため、印刷や色校正での適合性が高く、DTP分野で標準採用されている。近年はプリンターなどコンシューマー製品にもAdobeRGBを用いる動きが活発化している。その一方、モニターでは液晶ディスプレイ(LCD)の色再現性が不十分なこともあり、採用する動きは少なく、sRGB規格がデファクトスタンダードになっている。


RGBW画素

 従来、LCDや白色EL+カラーフィルター方式有機ELディスプレイのピクセルはRGBサブピクセルで構成されてきたが、近年では消費電力を低減するためにブランク部であるW(White)を加えたRGBWカラーフィルターを採用するケースが多くなってきた。Wサブピクセルの存在によってLCDではバックライト光の透過率、有機ELDではEL発光の透過率が大幅にアップするため輝度が向上する。このため、とくにローパワー化が要求されるモバイル用ディスプレイに用いられる。


RGB独立発光方式有機ELディスプレイ

▲RGB3色独立発光方式AM駆動低分子パネルの構造

 有機ELディスプレイのカラー化方法のひとつで、RGBそれぞれのサブピクセル(Wを加えたRGBW構成にする場合もある)によってひとつのピクセルを形成し、3波長発光させることによりフルカラー化する。発光効率や色純度では理想的なディスプレイといえるが、RGB発光層のパターニングは低分子パネルならマスクスルー蒸着法、低分子塗布型パネルや高分子パネルならインクジェットプリンティング法などにプロセスが限られ、高度なプロセス技術が必要となる。


アンカリング力

 アンカリングは、LCDで液晶材料がある特定方向に配向すること。この配向規制力をアンカリング力またはアンカリングエネルギーと呼ぶ。


位相差フィルム

 LC(液晶)層の着色による補償や視野角による位相差の変化を補償するフィルム。一軸または二軸延伸加工を施された視野角向上フィルムで、三次元屈折率の大小関係(屈折率楕円体)を使用条件に合わせて制御する。例えば、異方性の強い液晶分子を面内に水平配向させるTNモードでは厚さ方向の屈折率の不足分を補うように機能させる。一方、液晶分子を立たせて用いるVAモードでは厚さ方向の屈折率の過剰分を低減させる屈折率楕円体をもつ位相差フィルムを用いる。


インプレーン型電気泳動ディスプレイ

 インプレーン型電気泳動ディスプレイは名前の通り、水平方向に電界をかけるという点でコンベンショナルな垂直電気泳動型と決定的に異なり、帯電させた黒色粒子の面内分布を制御することで表示する。

 図のように、背面基板上にはベタパターンの第2電極、その上に白色散乱絶縁層を介して第1電極をストライプ状に設ける。プラスに帯電している黒色粒子を用いる場合、第2電極にプラス、第1電極にマイナスの電圧を印加すると、黒色粒子は第1電極上に集まり、白表示となる。一方、第1電極にプラス、第2電極にマイナスの電圧を印加すると、黒色粒子は第2電極上に引き寄せられ黒表示となる。

 特徴は@粒子は黒色1色だけでいい、A前面基板上には構造物を設けなくてよく、透過性が高い、B印加電圧の強弱によって黒色粒子の面内分布を制御することでグレースケール化が容易、C第1電極をITOなどの透明電極にすれば透過型や半透過型も容易といった点が挙げられる。

 その反面、@白表示時にも黒色粒子は第1電極上に集まるだけなので白さが不足し、反射率・コントラストを高めにくい、A前記の理由により第1電極をファインパターンにする必要があるといったウィークポイントもある。


液晶シャッターグラス方式(時分割方式)

 3D専用メガネを用いた3D化方式のひとつ。左目用と右目用の画像を交互に表示し、これに同期する形で液晶シャッターグラスの左目用と右目用をON/OFFすることで3D画像を表示する。解像度は犠牲にならず、視野角も2D表示時と同じという利点があるが、一般的な液晶材料ではクロストークが多くなり画像が大幅に劣化する。また、フリッカーも空間分割方式に比べ多く発生する。このため、応答速度が4ms以下の高速液晶材料や、OCB(Optical Compensated Bend)モードのような高速液晶モードを用いる必要がある。


sRGB

 色空間規格のひとつで、国際電気標準会議(IEC)が定めた国際標準規格。一般的なPCモニター、プリンター、デジタルカメラなどはこの規格に準拠しており、互いの機器をsRGBに即した色調整をすることにより、入力時と出力時の色の差を少なくすることができる。


NTSC

 National Television System Committee(全米テレビジョン放送方式標準化委員会)の略。委員会が策定したコンポジット映像信号(とくに1953年に定められたカラーテレビ)とそのテレビジョン放送方式(規格)を指して使われることが多く、日本のアナログ放送もNTSCを採用していた。

 ディスプレイデバイスでは色再現性を示す指標として用いられ、例えばNTSC比70%という表現で色再現性を表す。現状の透過型TFT-LCDはNTSC比70〜80%、より色再現性が高い有機ELディスプレイはNTSC比80〜120%となっている。


Nd:YAGレーザー

 YAG結晶を製造する過程でイットリウム(Y)を数%のネオジム(Nd)でドープした結晶を用いるYAGレーザー。基本波(第一高調波)は1064nm、第二高調波は532nm(グリーンレーザー)、第三高調波は355nm(UVレーザー)。デバイスの研究開発、リペア、産業機器や医療用機器に広く用いられる。


エミッションサイト

 文字通り、エミッション(電子放出)が起こる場所。


MPRT(Motion Picture Response Time)

 ディスプレイの動画応答性能を表す指標で、おもに液晶ディスプレイ(LCD)の動画視認性の評価に用いられる。単位はms。

 従来、LCDの応答性能は液晶の透過率を目標値まで変化させるために必要な時間を示す応答時間が使われてきた。しかし、液晶テレビが普及するにつれて、応答時間の長い液晶で表示した動画では強い動きぼやけが観測されるようになり、動画ぼやけを定量化するMPRTが導入された。


LCOS

 Liquid Crystal on Siliconの略で、その名の通りシリコンウェハー基板上にTFTを作製し、その上に液晶層を設けてガラス基板で封止したマイクロLCD。高温poly-Si TFT-LCDと違い、反射型デバイスが一般的で、プロジェクターやデジタルスチルカメラのビューファインダーに用いられる。


エレクトロウェッティングディスプレイ(EWD)



▲EWDの基本構造と表示メカニズム

 表示媒体に水と、色素をドープしたアルカンオイルまたはシリコンオイルを用いた電子ペーパーディスプレイで、図のように水が着色オイルを画素コーナーに押しのけることで二値表示を行う仕組み。疎水性絶縁体(フッ素樹脂)が疎水を示すときは着色オイルが表面に安定した層を形成してオイルの色を表示し、親水を示すときは上にある水が着色オイルを押しのけ、下にある反射層が現れて白表示となる。疎水性絶縁層はON状態で疎水、OFF状態で親水に切り替わる。容易に想像できるように応答性にも優れ、白表示までの応答速度は1.5ms以下が得られる。着色と白色の二値表示が基本だが、電圧変調または時間分割による階調表示も可能だ。

 カラー化方法は、@ブラックオイルと前面マイクロカラーフィルター(CF)を組み合わせる方法、Aブラックオイルとカラーフィルタ・オン・アレイ(COA)を組み合わせる方法、BマイクロCFレスで複数の着色オイルを塗り分ける方法、の三つに大別される。

※ステラ・コーポレーションではディスプレイ向けとしてCAD/CAMソフトウェア「Stella Vision」測長&外観検査装置「STシリーズ/LSTシリーズ」リベア装置「Repair Vision」を製品化しています。


エレクトロクロミック素子

▲有機系エレクトロクロミックディスプレイの構造

 エレクトロクロミック(EC)とは材料の電気化学的な酸化還元反応によって膜の色が可逆的に変わる現象で、これを利用したのがエレクトロクロミック型電子ペーパー。ECは電場による書き込み・消去が可能なため、スタンドアローン型デバイスへ展開しやすいのが特徴。

 EC材料は無機系と有機系の材料に大別される。無機系材料ではプルシアンブルーやWO3が用いられる。無機系材料はメモリー性の高さが長所だが、鮮やかなフルカラーパネルの実現という意味では有機系材料が適している。また、有機系エレクトロクロミック材料が持つ色鮮やかさと、無機材料の安定した特性を組み合わせた有機・無機ハイブリッド型もある。

 図はフルカラーパネルの基本となる単セルの構造例で、EC材料は発色材料と電解質で構成され、この溶液を2枚のITO電極で挟んだだけ。パネル周囲をシールする以外、リブなどの構造物は一切使わないシンプルな構造となっている。電圧を加えると電極上で酸化還元反応が起こり、透明からそれぞれの色に発色する。

※ステラ・コーポレーションではディスプレイ向けとしてCAD/CAMソフトウェア「Stella Vision」測長&外観検査装置「STシリーズ/LSTシリーズ」リベア装置「Repair Vision」を製品化しています。


OD(Optical Density)値

 黒色度を示す指標で、透過率と対比する用語。0〜6の6段階で表し、1は透過率100%、6は透過率0.0001%である。フォトマスクの遮光膜やカラーフィルターのブラックマトリクスといった遮光用途では4もしくは5が求められる。


ON/OFF電流レシオ

 トランジスタにおける通電状態と遮断状態における電流値の比で、大きいほどスイッチとして優れる。ディスプレイデバイスの場合、106以上が求められ、この値が小さいと多階調における正確な中間色表示ができなくなる。


外部量子効率

 LEDや有機ELデバイスなどの発光素子の発光層に注入する電子数に対して発光素子外部に放射される光子数を割合で示したもの。理論上の最大値は、有機ELでは蛍光素子が25%、燐光素子が100%。


画像焼き付き

 ディスプレイを長時間点灯すると、正常な画像に前の画像がうっすらと残ってしまう現象。ゴーストイメージともいわれる。ブラウン管(CRT)ではよくみられた現象で、PDPや有機ELディスプレイといった自発光型ディスプレイでも観測されることがある。これに対し、非発光ディスプレイであるLCDではその表示メカニズムからほとんど発生しない。


加速試験

 製品を過酷な条件下に置き、意図的に劣化を進めて寿命を検証する試験。TFTでは電圧を長時間連続的に印加してVthシフトなどの特性変化を評価するバイアスストレステスト、有機ELデバイスでは大気環境において高温多湿下で発光特性の変化を評価する寿命評価試験が知られる。


カラーブレークアップ

 フィールドシーケンシャル駆動方式LCDや単板型DLPプロジェクタといったタイムシーケンシャル駆動方式ディスプレイで発生する現象で、ビューワーが画面から目をそらす瞬間やある特定の速さで動く動画において本来縁色の画像が虹色に見えてしまう現象を指す。これは、RGBそれぞれの単色画像を重ねて時分割表示するタイムシーケンシャル駆動特有の現象である。

 これに対し、高温poly-Si TFT-LCDをはじめとする通常のLCDはマイクロカラーフィルターを用いる空間分割方式のため、カラーブレークアップ現象は発生しない。


COA(Color Filter on Array)

▲逆構造トップエミッションパネルの構造

 TFT-LCDや白色EL+カラーフィルター方式有機ELディスプレイで検討されているマイクロカラーフィルター(CF)パターン。その名の通り、低温poly-Si TFTやa-Si TFTといったアクティブ基板上にRGBのCFサブピクセルを設ける。画素電極とCFパターンの厳密な位置合わせが可能なため、開口率が高いのが特徴。


逆構造デバイス

▲COA方式有機ELディスプレイの構造例

 有機ELデバイスの構造のひとつで、コンベンショナルな順構造デバイスとは積層順序が逆になる。つまり、サブストレートからみてメタルカソード/電子注入層/電子輸送層/発光層/ホール輸送層/ホール注入層/透明アノードという順で積層する。すなわち、トップエミッション構造でも両電極は従来のボトムエミッション素子と同じ機能を果たす。この構造は、ホール注入層(バッファ層)としてMoO3、V2O5、CuSeなどを設けることで実現する。これらはホール注入特性を備えているほか、ITO/IZOスパッタリング成膜時にプラズマバリア層として機能するためである。


キャリア注入障壁

 有機ELデバイスや有機薄膜太陽電池といった有機半導体デバイスにおいて金属電極から有機分子層へキャリアが注入される際の障壁。金属電力のフェルミ準位と有機分子の最高被占軌道(HOMO)や最低空軌道(LUMO)が作るバンド端の界面でのエネルギー差で決定される。単位はeV。

 キャリア注入障壁が高いと電極から電子やホールといったキャリアが有機分子層へ効率的に注入されずに、デバイスの効率が低下する。このため、無機電極の仕事関数と有機層のイオン化ポテンシャルが近くなるよう、その間にキャリア注入障壁を低減するバッファ層をインサートする場合が多い。


キャリアバランス

 エレクトロニクスデバイス内における電子とホールの発生バランス。電子とホールが発光層内で再結合して発光する有機ELデバイスや、光が入射するとp型半導体とn型半導体の界面からホールと電子が分離して電流が発生する太陽電池で重要な特性で、これらキャリアの注入または分離バランスがとれていると効率が向上する。現時点で有機ELデバイスは各レイヤーの材料選択の制約からホールリッチ状態になるため、バッファ層の挿入をはじめとする工夫により電子注入特性を改善してキャリアバランスを改善するアプローチが一般的である。


屈折率

 真空中の光速を物質中の光速で割った値で、物質中における光の進み方を示す指標。光取り出し効率の低い有機ELデバイスでは屈折率は空気が1、ガラスが1.5、基板と接するITOが1.8〜2.0、有機層が1.7〜2.0と差が大きく、これが光取り出し効率を低下させる原因となっている。このため、とくに有機EL照明パネルではガラス基板の前面や背面に屈折率を調整する光取り出し向上フィルムなどを設けることが多い。


黒欠陥(ショート欠陥)

 デバイス上のパターン欠陥で、本来はライン間にスペースがあるべきはずなのに、機能膜そのものの残存や異物などの付着によってライン間がつながってしまっている現象を指す。電極パターンではショート欠陥と呼ばれることが多く、これがひとつでもあると基本的にNG製品となる。このため、レーザービームを局所的に照射して除去するのが一般的である。

※ステラ・コーポレーションではリベア装置「Repair Vision」を製品化しています。


クロストーク

 直訳すると漏話。回路や回線に浮遊容量、寄生容量、アースの共通インピーダンスなどの影響により、不必要な信号が漏れることを指す。ディスプレイデバイスでは隣接画素への光漏れ、混色によるコントラストの低下、3D表示時において一方の眼(例えば左眼)に映すべき画像がもう一方の眼(右眼)にも認識されてしまう現象なども、広義でクロストークといわれる。


蛍光と燐光

▲有機ELの発光メカニズム

 有機ELは正孔(ホール)と電子が発光層内で結合し、再び基底状態へ戻るときに生ずるエネルギーによって発光する。この際、正孔-電子対からは一重項励起子による蛍光が1、三重項励起子による燐光が3の割合で発生する。従来の蛍光では一重項発光しか用いられないため、量子効率は最大で25%にとどまる。しかし、燐光を用いれば75%+25%で最大100%の量子効率が実現できる。このため、近年では緑色ドーパントにIr(ppy)3やIr(ppy)2(acac)、赤色ドーパントにIr(piq)3やIr(btp)2acacといった燐光材料を、青色燐光材料は色純度や寿命特性の低いため青色は蛍光材料を用いるのが一般的だ。


ゲッター材

 密閉状態の電子デバイス内に配置し、内部に残留したり外部から侵入してくる不純物ガスを捕捉するマテリアル。O2、H2、CO、CO2などを捕捉する。キャパシティが飽和しても、捕捉した不純物ガスを再放出することはない。

 MEMデバイス、FED(フィールドエミッションディスプレイ)、FEL(フィールドエミッションランプ)、有機ELデバイスなどの寿命改善に用いられる。


高温poly-Si TFT-LCD

 デジタルカメラやデジタルビデオカメラのビューファインダー、そしてプロジェクタに用いられる拡大投影用の小型LCDデバイス。昔は単にpoly-Si TFT-LCDと呼ばれていたが、低温poly-Si TFT-LCDが実用化されるようになって以降、区別するために高温poly-Si TFT-LCDと呼ばれるようになった。その名の通り、1000℃以上の高温かつ10時間以上の長時間プロセスによってa-Siプリカーサ膜を結晶化する。このため、サブストレートには石英基板を用いる。


コレステリック液晶型カラー電子ペーパー

▲モノカラーパネルの構造

 コレステリック液晶はTFT-LCDなどに用いられるネマティック液晶とは分子の配列が異なる液晶材料で、フォーカルコニック(透過状態)とプレーナー(反射状態)という二つの安定状態(双安定性)を有する。どちらの状態でも電力を加えずにそのまま安定するというメモリー性を有しているため、一度画像を書き込んだ後は無電源で画像を保持することができる。また、液晶分子の微細なねじれ構造が選択的に返す光の波長によって発色が表現できるため、カラーフィルタを用いずにカラー化でき、高輝度な反射型ディスプレイが得られる。

 さらに、表示材に液晶を使うため、トナータイプにみられる白・黒反転がしないといった表示媒体に起因する欠陥が少ないのも特長。製造プロセスも旧来のSTN-LCD製造ラインを流用できるなど、量産化へのインフラが比較的整っているのも強みだ。

 基本的なモノカラーパネルは図の通りで、液晶の二つの安定状態、フォーカルコニック(透過)とプレーナー(反射)を切り換えることで二値表示を行う。一方、カラー化する場合は螺旋ピッチに応じたカラー光を干渉反射させることでRGBが表現でき、RGB層をスタックするRGB積層型が一般的だ。

※ステラ・コーポレーションではディスプレイ向けとしてCAD/CAMソフトウェア「Stella Vision」測長&外観検査装置「STシリーズ/LSTシリーズ」リベア装置「Repair Vision」を製品化しています。


CIE座標

 光、照明、色、色空間などを規定する国際標準化団体である国際照明委員会(仏語でCommission internationale de l'eclairage、略称CIE)が規定した色度図(CIE1931)。光の色をx、yの平面(2次元)座標で表したもの。RGBWそれぞれの色純度はこの座標に基づいて表される場合が多い。


仕事関数

 物質表面において1個の電子を無限遠まで取り出すのに必要な最小エネルギー。この時、表面上の空間は真空とする。有機ELデバイスなどの無機金属電極ではこれがキャリアの注入特性、フィールドエミッションデバイスのエミッタではエミッション特性を決める。


COF(Chip on Film)

▲COFの構造

 FPCのひとつで、おもにディスプレイパネルと駆動用ドライバICの接続に用いられる。CCL(Copper Clad Laminate)と呼ばれるCu層付きポリイミドフィルム基板をウェットエッチングして配線パターンを形成する。ドライバICの実装には、ICチップをダウンフェースして接続するフリップチップ方式を採用。このため、TABのようなデバイスホールは不要で、その分、工程数が少なく低コストで製造可能だ。また、薄いポリイミドフィルムにCu層がベタ塗りされたCCL基板を用いるため、ファイン化が容易で、パターニングされたリードは狭ピッチ化されてもPIフィルム上に安定している。さらに、ドライバICのサイズ変更にも柔軟に対応できる。

 製造方法はサブトラクト法、セミアディティブ法、印刷+エッチング法(スクリーン印刷法などでエッチングレジストを印刷してマスキングパターンを形成)、ダイレクト印刷&メッキ法(触媒を印刷した後、Cu膜を選択的にめっき成膜)、ダイレクト印刷法(ポリマー残存型ペーストを直接印刷)などで、サブトラクト法やセミアディティブ法といったフォト法が主流だが、コストダウンのため各種印刷法を用いる動きも活発化している。

※ステラ・コーポレーションではFPC製造向けとしてCAD/CAMソフトウェア「Stella Vision」測長&外観検査装置「STシリーズ/LSTシリーズ」を製品化しています。


しきい値電界

 フィールドエミッタから電子が出はじめる際の電界強度で、単位はV/μm。エミッション特性に優れるカーボンナノチューブエミッタのしきい値電界は1〜2V/μmである。


CCL(Copper Clad Laminate)

▲3層CCLの構造 ▲2層CCLの構造

 CCLには3層構造と2層構造がある。2層CCLは3層CCLの改良版で、その違いはベースフィルムであるポリイミドとCu層の接着方法にある。3層CCLが接着剤を介して密着性をとるのに対し、2層CCLはCu層とポリイミドフィルムをダイレクト接着する。要するに3層CCLでは接着剤を1層とカウントしている。

 改良の狙いはファインピッチ対応にある。接着剤を介して密着を図る3層CCLは比較的安価に製造できるが、ICチップをACF(Anisotropic Conductive Film)接続する際、高温でこれが軟化し、微細パターンになるほど密着性の確保が難しくなる。このため、現在はよりファインピッチに対応可能な2層CCLが主流となっている。


システム・オン・パネル

 低温poly-Si TFT-LCDの長所を言い表した言葉で、文字通りパネル上にピクセルアレイだけでなく、ドライバIC、タイミングジェネレーター、アンプ、フォトセンサー、最終的にはDRAM、フラッシュメモリー、CPUまで作り込んだディスプレイシステム。キャリアモビリティが300cd/m2以上と高いため、こうしたデバイス機能をビルトインすることができる。別名システム・オン・グラス(SOG)ともいわれる。


主鎖

 鎖式化合物の主要な炭素鎖で、炭素数が最大となる幹にあたる部分を指す場合が多い。


白欠陥(オープン欠陥)

 デバイス上のパターン欠陥で、本来はつながっているべきラインにスペースが発生してしまっている現象を指す。電極パターンではオープン欠陥と呼ばれる。電極パターンではこれがあると即NGとなるが、絶縁層や電極間のチャネルなどでは致命的欠陥にはならない場合もある。リペア方法はピンやディスペンサによるリペア材料のスポット照射、またCVD(Chemical Vapor Deposition)方式による局所成膜法などが知られるが、いずれにしてもこれらオープン欠陥をリペアした後、その周囲をレーザー照射によって正確にカットするトリミング処理を行う場合が多い。

※ステラ・コーポレーションではリベア装置「Repair Vision」を製品化しています。


水蒸気透過率(WVTR:Water Vapor Transmission Rate)

 その名の通り、水蒸気をどれだけ通すかを表した値。単位はg/m2/dayで、24時間でm2当たりに透過する水蒸気の重量を表す。食品包装紙、プラスチックフィルム、デバイスのガスバリア膜などのガスバリア性を評価するために用いられる。求められる水蒸気透過性はデバイスによって大きく異なり、ディスプレイデバイスでは電子ペーパーが10-1g/m2/day、液晶ディスプレイが10-2g/m2/day、有機ELディスプレイが10-6g/m2/dayクラスといわれる。


ストークスシフト

 蛍光スペクトルの線や帯が吸収線や吸収帯よりも長波長側へずれる現象。


スレッショルド(threshold)

 日本語では閾値で、境界となる値。この値を境に上下で意味、条件、判定などが異なるような値を指す。電子回路の高電圧と低電圧の区別、プログラミングの条件判定などでしばしば用いられる概念。例えば、TFTでは動作電圧、ディスプレイでは発光開始電圧などでスレッショルドがよく用いられる。


静電容量方式

 タッチパネル方式のひとつで、表面の膜の電気容量の変化を感知することによりタッチ操作を実現する。手袋には反応せず、指にしか反応しないため、誤作動がなく、水や油の影響も受けない。他の方式と比べタッチ寿命、反応速度、分解能といった性能のバランスがいい反面、光透過率が85%以下と低いのが弱点。ATM、券売機、キオスク端末といった業務用に多く使われる。


セグメント型

 デジタル時計や電子計測機器などに採用されている表示方式で、アイコンや英数字などあらかじめデザインした形状を任意の制御で表示する。つまり、表示可能なアイコンや文字はあらかじめ決まっている。この点が自在に画像を変更できるドットマトリクス型と異なる。


ゼロ位相差フィルム

 文字通り、位相差をゼロにしたTAC(トリアセチルセルロース)フィルムで、横電界駆動方式であるIPSモードTFT-LCDの視野角を補強する目的で用いられる。本来、IPSパネルは視野角が広いが、厚み方向の位相差により黒表示時における斜めからのリーク光の着色現象、つまりカラーシフトが生じる。これを解消するために厚み方向の位相差をゼロにしたのがゼロ位相差フィルムで、もちろん偏光板保護フィルムという本来の役割も担っている。


側鎖

 鎖式化合物の分子構造で最も長い炭素原子の連鎖(主鎖)から枝分かれしている部分。また、環式化合物の環に結合している鎖式炭化水素基。


ダイポールモーメント

 双極子。一つの分子内に複数の荷電の異なる部分がある際、それらの距離のベクトルと荷電の積の和。


ダークスポット

 有機ELデバイス特有の欠陥で、本来発光すべきエリアが発光しなくなる現象。とくに、H2Oの影響によって有機膜が変質し発光しなくなるとされる。一般的に、ダークスポットは駆動時間の経過とともに増殖して大きくなる傾向にあるため、ひとつでもできるとデバイス自体がNGになる場合が多い。


TAB(Tape Automated Bonding)

▲TABの構造

 FPCのひとつで、おもにディスプレイパネルと駆動用ドライバICの接続に用いられる。図のように、ポリイミド(PI)フィルム基板にデバイスホールを開け、そこに納めたICチップに対しフィンガーリードを介して接続する。フィンガーリードはPIフィルムからフリーの状態で離れているため、接続後は機械強度を確保するために流動性樹脂で封止する。また、PIフィルムが70〜80μmと厚いため、フレキシブルに折り曲げるためにスリットを設ける必要がある。

 TABはもっとも歴史があり、製造インフラも整っていることから信頼性も高いが、製造プロセスが複雑で結果的にコストが比較的高い。このため、近年はポストTABとしてCOFが主流になりつつある。

 なお、製造フローはまず型抜き用の金型でPIフィルムをパンチングしてデバイスホールを開ける。この後は銅箔ラミネート〜フォトレジスト塗布〜露光〜現像〜ウェットエッチング〜レジスト剥離といった一般的なフォトエッチング法でパターニングされる。

※ステラ・コーポレーションではFPC製造向けとしてCAD/CAMソフトウェア「Stella Vision」測長&外観検査装置「STシリーズ/LSTシリーズ」を製品化しています。


ツイストボール型電子ペーパー

 ツイストボール型電子ペーパーディスプレイは、反転粒子(ツイスティングボール)を黒と白など2色の半球にして、一方の半球面をマイナス、他方の半球面をプラスに帯電させて一方の色を表示する。

 具体的には、ツイスティングボールを透明マイクロカプセルのなかに入れ、上下電極に印加する電界によって半球がどちらかを向くかによって一方の色を表示する。マイクロカプセルの径は50〜100μmで、カプセル内にはオイルが充填されており、ツイスティングボールが回転しやすいようになっている。ビューワーは直接半球を見ることになるため、反射率・コントラストが高いのが特徴。

 また、ツイストボールの色が自在に設定できるのも魅力。つまり、ツイストボールの主要原料であるアクリル樹脂に添加する顔料や塗料の種類を変えれば黒と白だけでなく、青、赤、橙など多彩な色が表示できる。

 一方、そのメカニズムからグレースケール化するには面積階調という古典的かつ低精細な手法をとらざるを得ず、多階調化は困難といえる。 このため、e-bookやモバイル機器といった高精細アプリケーションには不向きで、交通標識、大型デジタル時計、インフォメーションボードといったラージサイズのローレゾリューション用途に適している。

※ステラ・コーポレーションではディスプレイ向けとしてCAD/CAMソフトウェア「Stella Vision」測長&外観検査装置「STシリーズ/LSTシリーズ」リベア装置「Repair Vision」を製品化しています。


DLP(Digital Light Processing)

 米Texas Instrumentsが開発したDMD(Digital Mirror Device)を用いたプロジェクション用映像表示システム。MEMSデバイスであるDMDチップにはディスプレイ解像度分の微小ミラーが設けれており、そのひとつひとつがマイクロ秒単位という超高速でON/OFFすることにより、光源から照射された光を反射または遮断する。反射された光はスクリーンに投影されて、ビューワーに認識される仕組み。階調はマイクロミラーのON回数によって制御する。

 デジタルシネマ用途では圧倒的シェアを誇るほか、業務用・家庭用プロジェクタ市場でも高温poly-Si TFT-LCDをしのぐシェアを誇る。また、PCB向けなどの直接描画装置の光制御方式にも使われているほか、近年では携帯電話をはじめとする民生モバイル機器にもミニモバイルプロジェクターとして搭載が進められている。


DCI

 米映画制作会社が加盟する団体であるDigital Cinema Initiativesがデジタルシネマ用の動画解像度を定めた規格で、一般に4096×2160画素を指す。ここにきて急速に映画館で採用が進んでおり、4096×2160画素のCMOSイメージセンサやDLPチップがソニーや米Texas Instrumentsから供給されることによってビデオカメラ、映画カメラ、プロジェクターメーカーで普及しはじめている。


点灯開始電圧

 光源やディスプレイデバイスで点灯または発光が観察される際の印加電圧。有機ELディスプレイなどのディスプレイでは輝度1cd/m2に達する電圧を指す。


電子オンリーデバイス

 有機ELや有機薄膜太陽電池で電子の注入特性を評価するための評価デバイス。例えば、有機ELではメタルカソード/電子輸送層/発光層/電子注入層/メタルカソードという構成の素子を作製し、電子注入特性を評価する。


電流密度

 単位面積に垂直な方向に単位時間に流れる電気量(電荷)で、単位はA/m2。電極の単位面積当たりの電流の大きさを表すのに用いられる。


導光板

▲導光板の構造例

 サイドライト型(エッジ型)バックライトを用いるLCDに不可欠なコンポーネントで、LEDなどの光源の光を導光板で引き出しながらパネルの正面に向かって立ち上げる。おもに携帯電話、スマートフォン、モニター、ノートPC、テレビで用いられる。光源となる冷陰極管(CCFL)あるいは白色LEDはそれぞれ線光源、点光源であるため、導光板によってパネル全面に均一に光が行きわたるよう面光源に変換する。

  導光板の材料には透明性の高いPMMA樹脂(アクリル)が用いられる。導光板によって光をパネル全面に導く原理は光ファイバーと同じで、内部で全反射を繰り返しながら光源側から反対側まで光が進んでいく。その際に重要になるのが導光板の裏面に配した凹凸パターン。反射ドットと呼ばれる凹凸パターンには2タイプあり、従来のドットパターンのほか、V字型に溝加工したV溝パターンが用いられる。その形状、配置、密度によってパネルの輝度や輝度均一性が大きく左右される。


突起欠陥

 周辺に比べ極端に膜厚が厚くなり、突起物のようにみえる欠陥を指す。とくに問題となるのは平滑性が要求される膜で、絶縁膜、Si膜、マイクロカラーフィルターのRGB着色層などではリペアが必須となる。リペア方法はテープ研磨やレーザー照射が一般的である。

※ステラ・コーポレーションではリベア装置「Repair Vision」を製品化しています。


ドメイン

 LCDの広視野角モードのひとつであるMVA(Multi-domain Vertical Alignment)では、ひとつのサブピクセルを複数に分割し、異なる配向の領域を持つマルチドメインを設ける。透明画素電極上にリブと呼ばれる微小な樹脂製の突起物を設けることにより、複数のドメインに分割する。


ノーマリーブラックモード

 LCDの表示モードで、電圧OFF時は遮光状態、電圧ON時は透過状態を示す。図のように、上下の偏光板をパラレルに配置する。黒表示を液晶分子が寝た状態で表すため、液晶分子の配列バラつきにより光が漏れ、黒を十分に出せないという弱点がある。つまり、コントラストではノーマリーホワイトモードの方が優れる。


ノーマリーホワイトモード

 LCDの表示モードで、電圧OFF時は透過状態、電圧ON時は遮光状態を示す。図のように、上下の偏光板を交差する格好で配置する。


白色有機EL+カラーフィルタ方式有機ELD

 EL発光層で白色発光を発生させ前面基板上のマイクロカラーフィルター(CF)でRGB3色へ変換することによりカラー化する有機ELディスプレイ。LCD(液晶ディスプレイ)製造技術でCF基板が作製できるうえ、有機EL発光層をパターニングする必要がないためフルカラーパネルが作製しやすい。ただし、単層で白色発光を得るのは難しいため、黄色発光層と青緑色発光層の2層化またはRGBの3層化によって白色発光を得るのが一般的である。ウィークポイントとしてはCFによるエネルギーロス、そして白色発光の効率が低いことが挙げられる。もちろん、CFによって外光反射が低減できるため、基本的にパネルの前面に設ける円偏光フィルターは不要になる。


パターン化位相差フィルム+偏光メガネ方式(空間分割方式)

 3D専用メガネを用いた3D化方式のひとつ。左は左目画像、右は右目画像だけが見える偏光メガネとパターン化位相差フィルムを用いて空間的に3D画像を得る。つまり、左目用を奇数ライン、右目用を偶数ラインに固定して3D化する。本質的にはクロストークが発生する危険が少ない一方、垂直解像度が半減し、視野角も±10度程度と狭くなる。


8Kスーパーハイビジョン

 NHKが提案している次世代高精細テレビの規格で、解像度は7680×4320画素。NHKでは2016年にテスト放送を開始。2018年から本放送をスタートし、東京オリンピック・パラリンピックが開かれる2020年に本格普及というシナリオを描いている。


バックライトブリンキング

 LCDの動画表示特性を改善する駆動技術で、次の映像に切り替わる間にLEDバックライトをOFFにして黒画面だけの1フレームを導入すること。画面すべてが黒になることはないため、フリッカーを発生させずに、残像感を低減することができる。ただし、画面輝度は若干低下する。


パララックス(視差)バリア方式


▲パララックスバリア方式のイメージ


▲パララックス液晶バリアの構造

 グラスレス3D方式のひとつ。バリアパターンを設けたパララックスバリアをディスプレイパネルの前面に配置し、パララックスバリアから右目用の映像と左目用の映像を交互に表示することにより3D表示する。中小型パネルに適しており、比較的ローコストで3D画像が得られるが、@正面方向しか3D感覚が得られず3D表示時の視角が狭い、A解像度が1/2になる、といった弱点がある。

 また、液晶バリアを用いるか否かでも細分化される。ここにきてスタンダードとなっている液晶バリア方式は構造が複雑化するものの、液晶によってアクティブシャッターをONにすると3D画像、OFFにすると2D画像が表示できるという2D/3D切り替えできるのが特徴だ。

 一方、液晶バリアレス方式は従来主流だった方法で、遮光パターンを設けた銀塩フィルムをパネルに貼りつけるか、もしくはパネルの前面ガラス基板上に遮光パターンをダイレクト形成する。後者ではパネル内のピクセルとの位置合わせ精度が大幅にアップするため、クロストークが発生する危険が少なくなる。

 いずれの方式とも3Dクオリティを高めるにはパララックスバリア〜パネル間のディスタンスを狭くするのが望ましい。


半値幅

 英語名はHalf Width at Half Maximum(HWHM)。光出力のスペクトル分布において相対放射強度がピーク値の50%になる波長の幅を指す。発光材料をはじめとする色材料では、この半値幅が狭いほど色純度が高くなる。


バンドギャップ

 結晶のバンド構造において電子が存在できない領域全般を指す。ただし、半導体や絶縁体では、バンド構造における電子に占有された最も高いエネルギーバンド(価電子帯)の頂上から、最も低い空のバンド(伝導帯)の底までの間のエネルギー準位を指す。


ヒステリシス(Hysteresis)

 加える力を最初の状態のときと同じに戻しても状態が完全には戻らないことを指す。例えば、弾性変形の限界を超えて伸縮したため塑性変形が加わったバネが代表的である。

 エレクトロニクスデバイスでは、とくに酸化物TFTや有機TFTでヒステリシスが問題になることが多い。このカテゴリーでは、電圧を上げていった際と下げていった際の挙動が異なる現象を指す。この場合、TFT駆動ディスプレイでは階調(グレースケール)が正確にコントロールできなくなる。


BT.2020

 4K(3840×2160画素)や8K(7680×4320画素)といった超高精細度テレビジョン(UHDTV:Ultra-High Definition Television)の番組制作および国際番組交換のための映像フォーマットを規定した色域規格(いわゆる業界の目標)。その色再現性範囲はAdobeRGBよりもかなり広く、既存のLEDバックライトでは再現域をカバーできず、フルカバーするにはレーザーバックライトを用いる必要があるとされる。


PEDOT/PSS

 ポリエチレンジキオシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸の略。代表的な導電性ポリマーで、フレキシブル透明電極のほか、ホール注入特性に優れるため有機ELのホール注入層に用いられる。塗布液は青みがかっており、膜の透明性と比抵抗はトレードオフの関係となる。耐食性が非常に高いため、ウェットエッチング法でパターニングするのは困難で、基本的には各種塗布法や各種印刷法で成膜される。



ppi

 pixel per inchの略で、ディスプレイや描画装置などの解像度を表す。1インチ当たりの画素数を400ppiなどと表す。現在もっとも高精細なアプリケーションはスマートフォンで、400〜500ppi解像度のディスプレイが用いられている。

 同義語としては印刷の解像度を示すdpi(dot per inch)があり、ディスプレイ分野では解像度をdpiという場合もある。


表面プラズモンエネルギー

 プラズモンとはプラズマ振動の量子で、金属中の自由電子が集団的に振動して擬似的な粒子として振る舞う状態を指す。メタルナノ粒子ではプラズモンが表面に局在するため、表面プラズモンとも呼ばれる。また、メタルナノ粒子では可視-近赤外域の光電場とプラズモンがカップリングして光吸収が起こり、鮮やかな色調を発生する。この現象が表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance)であり、局所的に著しく増強された電場も発生する。つまり、光エネルギーが表面プラズモンに変換されることにより、金属ナノ粒子表面に光のエネルギーが蓄えられるほか、光の回折限界より小さな領域での光制御が可能となる。

 有機ELデバイスでは、この増強電場と発光体を共鳴させることによって発光効率を高める研究が進んでいる。例えば、ITOアノード上にアイランド状の極薄膜Ag膜を設けると、局在表面プラズモン共鳴効果によって発光強度が増加するといわれる。


ピンホール欠陥

 膜中に針でつついたような穴ができた現象を指す。広義では白欠陥に分類される。電極パターンでは完全に断線していない限り問題にならない場合が多い。一方、ディスプレイの画素電極やマイクロカラーフィルターでは大きさによってはリペアが必要になったり、NGになったりするケースもある。


フィールドシーケンシャル(FS)カラー方式

 RGBそれぞれのLEDを高速で順次点灯させて時分割でフルカラー表示するLCD。つまり、従来のマイクロカラーフィルター(CF)方式のように面積分割ではないため、CFが不要で、その分、バックライトからの光透過率も向上し、開口率もアップする。つまり、高輝度で高効率、さらにCFレスのため高精細化が容易になる。

 その反面、高速応答の液晶モードや液晶材料を用いる必要がある。また、時分割駆動方式特有のカラーブレイクアップ現象が生じしやすいという弱点がある。


フリッカー

 ディスプレイで生じる細かいちらつき現象。ディスプレイの書き換え頻度であるリフレッシュレートが低いと、肉眼でその点滅がフリッカーとして認識される。フリッカーが発生しているディスプレイを長時間使うと、疲労、めまい、吐き気などを誘発する。


プリンタブルエレクトロニクス(別名プリンテッドエレクトロニクス)

 インクジェットプリンティング(IJ)法、スクリーン印刷法、グラビアオフセット印刷法、凸版印刷法などの各種印刷法でエレクトロニクスデバイスを作製することをいう。別名プリンテッドエレクトロニクスともいう。

 従来の真空成膜+フォトリソ法に比べ、@常圧プロセス、A必要な量の材料だけを使用する(エッチングレス)、B比較的低温プロセス、C工程数が材料印刷〜硬化だけと少ない、D省スペース、といったコストメリットがあり、さらに少量多品種生産にも対応しやすい。とくに有効とされるのは有機TFT、有機ELディスプレイ、有機薄膜太陽電池、色素増感太陽電池、電子ペーパーデバイス、FPCなどで、これらをプリンタブルエレクロニクス技術で生産できれば劇的なコストダウンが図れるとされる。

※ステラ・コーポレーションではプリンタブルエレクトロニクス向けとしてCAD/CAMソフトウェア「Stella Vision」測長&外観検査装置「STシリーズ/LSTシリーズ」リベア装置「Repair Vision」を製品化しています。


ヘイズ

 プラスチックフィルムの透明性に関する指標で、濁度(曇度)を%で表す。拡散透過光の全光線透過光に対する割合から求められ、表面の粗さが大きな影響を及ぼす。


HUD(ヘッドアップ・ディスプレイ)

 人間の視野に直接情報を映し出す装置。透明なガラス面などに画像を投影し、通常の視界と重なる形で文字などの情報を表示する。つまり、ビューワーからは文字などの情報が浮き上がっているにみえる。投影デバイスは液晶ディスプレイ(LCD)、反射型LCD(LCOS:Liquid Crystal on Silicon)、ホログラフィック光学素子などが用いられる。

 元来、戦闘機のコックピット用として開発されたが、その後、輸送機や通常の旅客機にも導入。さらに、近年では自動車のフロントガラスへの採用も進んでいる。


偏光板

▲LCDの表示原理(ノーマリーホワイトモード)と偏光板の役割

 液晶ディスプレイ(LCD)に不可欠なコンポーネントで、パネルの表裏両面に計2枚貼り付けて使用される。

 偏光板の役割は大きく二つの言葉で表現できる。ひとつは光の成形、もうひとつは光のシャッターである。第1の偏光板は自然光のなかから液晶分子が制御しやすい形(直線偏光)に成形し、第2の偏光板では液晶層で制御しきれなかった光(楕円偏光)を再び直線偏光に成形する役割を果たす。一方、シャッターの役割では液晶層で変換された光の透過/遮光を決定する。

 そして、ガラス基板に挟まれた液晶分子(層)は、偏光板から渡された直線偏光を90°ねじる(旋光)役割を果たしている。図では0°と90°のON/OFFしか表現していないが、液晶分子のねじれ具合は配向膜によってコントロールされ、電圧によって変わる液晶分子の傾き具合いによって階調表示が可能になる。つまり、液晶分子は第2の偏光板を通す光の量を調節するバルブの役割を果たす。


ホメオトロピック配列

 図のように、ホメオトロピック配列はすべての液晶分子が基板に対して垂直に並ぶ。


HOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)

 電子に占有されている最もエネルギーの高い分子軌道(最高被占軌道)。これに対し、LUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)は電子に占有されていない最もエネルギーの低い分子軌道(最低空軌道)。HOMOとLUMO間のエネルギー差はHOMO-LUMOエネルギーギャップと呼ばれる。有機半導体においてはHOMO準位と真空準位のエネルギー差がイオン化エネルギー、LUMO準位と真空準位のエネルギー差が電子親和力となる。


Homogeneous配向

 LCDにおいて液晶分子の配向方法のひとつ。図のように、すべての液晶分子が基板に対し平行かつ同じ方向を向く。


ホモ接合型

 有機ELデバイスの構造のひとつ。レイヤー毎に機能を特化し多層をスタックするコンベンショナルホールオンリーデバイス

 コンベンショナルなヘテロ接合型に代わるデバイス構造として提案されているのがホモ接合型。アノード側、カソード側ともバッファ層を設けずに、ホストにp型材料およびn型材料をドープしてバッファ機能を付与する仕組みで、発光層も同一ホストを用いて発光ドーパントと共蒸着する。いうまでもなく、ホストは両極性でかつホール、電子ともに高いキャリアモビリティを備える必要があり、ベンゾジフラン誘導体“CZBDF”やspiro-DPVBi(4,4'-Bis(2,2-diphenylvinyl)-1,1'-biphenyl)などが知られる。

 最大のメリットは有機層のレイヤー数を3層、実質的には1層に削減可能なためローコスト化に有利なこと。また、キャリアモビリティの高いホストを用いれば高効率化や低電圧駆動化も容易になる。さらに、デバイスの寿命に影響を与える界面の数が削減できるため、寿命面でも有利と考えられる。


ポリマーネットワーク液晶ディスプレイ(PN-LCD)


▲パネルの構造


※電界無印加状態(ポリマーネットワーク状態)


※電界印加状態(ポリマーネットワーク状態解除)

 ポリマーネットワーク液晶ディスプレイ(PN-LCD)は、アクリルモノマーを添加した液晶材料を用いたLCD。液晶セルに液晶材料+アクリルモノマーを封入した後、UV光を照射するとモノマーがポリマー化してミクロ相分離構造となり、液晶中にポリマーネットワークを形成する。

 このため、電界がないとき、つまり電圧オフ時は上の図のように液晶は3次元網目状のポリマーネットワークによって配列が不規則状態となって白濁し、光を散乱させる。一方、電界印加時は下の図のように液晶分子が電界方向へ配向し、不規則状態が解消されて透明状態になる。この結果、背面に黒色顔料などの光吸収層を置くと電界印加時は黒、電界除去時は後方散乱光によって白表示となる。一方、背面に反射板を配置すると、その逆になる。

 いうまでもなく、上記の表示メカニズムからコンベンショナルな反射型LCDに不可欠な配向処理や偏光フィルムが不要になる。

※ステラ・コーポレーションではディスプレイ向けとしてCAD/CAMソフトウェア「Stella Vision」測長&外観検査装置「STシリーズ/LSTシリーズ」リベア装置「Repair Vision」を製品化しています。

 


ホールオンリーデバイス

 有機ELや有機薄膜太陽電池で正孔(ホール)の注入特性を評価するための評価デバイス。例えば、有機ELではITOアノード/ホール注入層/ホール輸送層/発光層/ホール注入層/メタルアノードという構成の素子を作製しホール注入特性を評価する。


マイグレーション

 電子部品のおもな故障原因とさえいえる現象で、配線や電極である金属が絶縁膜上を移動することにより(マイグレーション現象)、電極間の絶縁抵抗値が低下したり、最終的には絶縁不良によって短絡する。マイグレーション自体は、電界の影響によって金属成分が非金属媒体の上や中を横切って移動する現象を指す。

マイグレーションは、移動現象の違いによりエレクトロマイグレーションとイオンマイグレーションに大別される。前者は電子運動によって、後者は電解現象によって発生する。エレクトロニクスデバイスでもっとも問題になるのは後者で、とくに湿度が高いと発生しやすくなる。Ag、Cu、Sn、Pb、Ni、Auなど多くの金属材料で発生するが、とくにAgはもっとも発生しやすいため、導電性がもっとも高いものの、配線材料として敬遠される傾向は否定できない。


マイクロカップ方式電気泳動ディスプレイ

 米SiPixが開発した電気泳動ディスプレイ。図のように、プラスもしくはマイナスに帯電させた粒子を電圧印加によって泳動させる点は一般的な電気泳動ディスプレイと同じだが、@リブ(隔壁)によってセルをセパレートする、A粒子は光シャッターに用いるため1色でいい、B着色溶液を用いる、といった点が異なる。つまり、電界によって粒子を前面電極上に付着させているときは溶液の色を隠し、その逆は溶液の色がそのまま見えるようにする。図のように、RGBの着色溶液を用いればカラー化も比較的容易である。

※ステラ・コーポレーションではディスプレイ向けとしてCAD/CAMソフトウェア「Stella Vision」測長&外観検査装置「STシリーズ/LSTシリーズ」リベア装置「Repair Vision」を製品化しています。


マイクロカプセル型電気泳動ディスプレイ

 マイクロカプセル型電気泳動ディスプレイは、黒色粒子(カーボンブラックインクパウダー)と白色粒子(TiO2インクパウダー)を径30〜100μmのゼラチン製マイクロカプセルに充填した電子ペーパー。マイクロカプセル内にはトナーのほか絶縁性の透明液体が充填される。

 帯電性粒子はイソパラフィン系溶剤などの絶縁性有機溶媒に安定的に分散し、かつ適度な帯電性を示す必要がある。分散安定性に関しては、@粒子表面にポリマーを吸着させる、A表面グラフト反応法によってポリマーを成長させる、などの方法が知られる。いわゆる表面修飾であり、この結果、粒子はヒゲがはえた格好となり粒子同士が近接しても立体障害によって反発し合い、凝集が抑制される仕組み。

 図のように、パネルはアクティブ素子もしくはパッシブ電極ラインを設けた背面基板、エレクトリックインク層、ITO電極、PET/PENフィルム、SiO2膜などのハードコート層から構成される。

 インクパウダーは粒径1μm以下の微粒子で、表面は黒色がマイナス、白色がプラスの電位で永久チャージされている。表示原理は、前面基板上のITO電極に+の電圧を印加すると、マイナスに帯電している黒色インクパウダーが磁石のように引っ張られてITO膜に接近する一方、白色インクパウダーは+の電圧を避けるようにITO膜から離れる。このため、表示側からみると黒表示となる。逆に、−の電圧を印加すると白色インクパウダーがITO膜に接近し、外光反射によって白色表示となる。

 カラーパネルは、前面基板上にRGBマイクロカラーフィルタを設ける方式が一般的。この場合、外光はカラーフィルタを2回経由して表示面側に取り出されるため、その減衰ロスは決して小さくない。

※ステラ・コーポレーションではディスプレイ向けとしてCAD/CAMソフトウェア「Stella Vision」測長&外観検査装置「STシリーズ/LSTシリーズ」リベア装置「Repair Vision」を製品化しています。


マイクロキャビティ方式有機ELディスプレイ

 カラーフィルター+マイクロキャビティRGB独立発光パネルはその名のとおり、RGBのEL発光とCFを組み合わせたもので、究極のデラックスパネルといわれる。光路長を最適化するため、RGB発光層の膜厚をそれぞれ異ならせて発光スペクトルを狭線化することによって指向性を高めるマイクロキャビティ効果を持たせる。例えばRは175nm、Gは120nm、Bは60nmに膜厚を設定する。この結果、効率、色純度、視野角特性とも向上する。一方、CFには色純度を高めるとともに外光反射を低減する機能があり、基本的に前面基板側に設ける円偏光フィルターが不要になる。

 プロセスフローは背面基板側のRGB独立発光素子に前面CF基板を貼り合わせる形になるが、RGB発光層の膜厚を変えるため、直下にあるホール輸送層の膜厚をRGB毎に設定するのが一般的である。このため、ホール輸送層もメタルマスクスルー蒸着する必要がある。


マルチフォトンエミッション構造有機EL

 マルチフォトンエミッション(MPE)有機ELはCGL(Charge Generation Layer:電荷発生層)を介して複数の発光ユニット(ホール輸送層、電子輸送性発光層、電子注入層)を設けたもので、CGLによってそれぞれの発光ユニットで電子とホールの再結合が起こるため、それぞれの発光ユニットが同時に発光する。このため、内部量子効率は“CGL数+1倍“と100%以上が可能となり、CGLの数が増えれば増えるほど効率が向上し低電流駆動が可能となる。したがって、有機EL素子の寿命を伸ばすことができる一方、高輝度化することも容易など、さまざまなパネル設計が可能になる。

 もちろん、コンベンショナルなRGB3色独立発光方式から、単色発光+カラーフィルター方式までカラー化方法も自在で、効率が低い色は他の色よりも発光ユニット数を増やしてRGB3色のバランスをとることもできる。また、発光材料も一般的な蛍光材料だけでなく、燐光材料を用いることも可能だ。


MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ディスプレイ

 文字通り、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を光源からの光のON/OFF制御に用いたディスプレイ。もっとも有名なのは米Texas Instrumentsが開発したDLP(Digital Light Processing)で、プロジェクタやデジタルシネマなどで高いシェアを誇る。

 その一方、ここにきて注目されているのが直視型で、米Pixtronixが開発したMEMSシャッター方式ディスプレイが知られる。このディスプレイでは、開口スリットを設けたMEMSシャッターを上下に移動させてバックライトからの光透過量をコントロールする。つまり、コンベンショナルなa-Si TFTの代わりにMEMSシャッターアレイをアクティブ素子に用いる。開口スリットサイズはサブピクセルサイズにより自在に設定可能で、基本的にMEMSシャッターは20μmストロークで上下に移動する。この移動速度を精密にコントロールすることにより光透過率を制御して多階調化する。光源にはRGBのLEDバックライトを使用、時分割方式であるフィールドシーケンシャル(FS)駆動によってフルカラー化する。最大の特徴は光透過率が60%程度と高いことで、この結果、消費電力もシリコンTFT-LCDの1/2以下に低減できる。また、LEDからの光をそのまま利用することから色再現性がNTSC比120%と高い。さらに、液晶材料を用いないため応答速度も速く、−20℃の低温環境下でも表示特性が維持できるなど動作安定性にも優れる。もちろん、マイクロカラーフィルター、液晶材料、配向膜、偏光板は不要だ。

 その一方、時分割駆動方式特有の現象であるカラーブレークアップが発生するため、駆動周波数をさらに高めるといった工夫が必要となる。


モアレ

 干渉縞。規則正しい繰り返し模様を複数重ね合わせた時、それらの周期のずれにより視覚的に発生する縞模様。


モコン法

 正式名称は等圧法。水蒸気透過率を測定する評価法で、フィルムを透過する水蒸気を赤外線センサーで測定することにより水蒸気透過率を定める。測定限界は通常0.01g/m2/dayだが、最近はセンサーの高感度化により10-4g/m2/dayレベルにまで改善されてきた。有機ELデバイスでは10-6g/m2/dayクラスが要求されるため、いわゆる測定限界でないとNGということになる。


モスアイ

 反射防止(Aintireflection)フィルムのひとつで、蛾の複眼のように、光の波長以下の周期の凹凸構造アレイを設ける。この構造により外光を何度も屈折させることができ、反射率を0.1%以下に抑制できるとされる。ただし、凹凸パターンは周期150nm以下、高さ数百nmときわめてハイアスペクト&ウルトラファイン化が求められ、作製方法としてはドライエッチング法やナノインプリント法が知られる。

 ディスプレイでは反射率が劇的に抑制され視認性が向上。太陽電池では光取り込み率の向上により光電変換効率の改善を図ることができる。


有機発光トランジスタ

▲代表的な有機発光トランジスタの構造例(機能一体型有機発光トランジスタ)

 有機発光トランジスタは有機ELと有機トランジスタを組み合わせたデバイスで、理想的なドットマトリクス有機発光デバイスが実現する。ただし、実際にはマトリクスディスプレイにする場合、有機ELと同様、ドライブトランジスタに加えスイッチングトランジスタ、ストレージキャパシタが必要になる。ドライブTFTが発光機能を有している分、パネルの開口率を高めることができる。もちろん、有機ELのようにアクティブ素子と有機EL素子を別々に作製する必要がなく、製造プロセスコスト面でも有利となる。


リタデーション

 日本語では偏光。太陽光やランプの光などの自然光は、さまざまな方向に振動している。さまざまな方向に振動している光から、ある特定の方向に振動している光のみを取り出す光学素子を偏光子と呼ぶ。LCDでは偏光板と液晶分子を使ってバックライト光(自然光)を画像表示用に変換する。


励起子

 英語名exciton。半導体あるいは絶縁体中で電子とホールの対がクーロン力によって束縛状態となったもの。一般に、光励起などによる電子-ホールの対生成によって生成される。

 励起子には一重項励起子と三重項励起子があり、前者からは蛍光が得られる。他方、三重項励起子はIrやPtが存在する場合など特殊な状況では燐光が得られるが、こうした場合以外では熱として失活する。従来の有機ELデバイスはRGB各色とも蛍光材料を用いていたが、近年はRとGに三重項励起子を利用する燐光材料、Bに蛍光材料を用いるのが一般的となっている。


レンチキュラー方式

 グラスフリー3D化法のひとつ。見る角度によって絵柄が変化したり3D感覚が得られるレンチキュラーレンズを用いる方式で、パネルの前面にカマボコ型のレンチキュラーレンズを設けるとともに画素を視差数に合わせて8〜9分割する仕組み。このため、3D表示の視角が広く、テレビなどの大型アプリケーションに適する。

 ただし、視差数の分だけ解像度は犠牲になる、つまり9視差なら1/9になるため、高精細パネルには適用できず、さらに画素を細分化することからa-Si TFTではなく、ファイン化に有利な低温poly-Si TFTを用いることが多い。


ローカルディミング(Local Dimming)方式

 ローカルディミング(別名エリアコントロール)はLCDバックライト制御方式のひとつで、パネルを分割して局所的に調光するというコンセプトに基づく。具体的には、一映像中の明所と暗所に合わせてバックライト光を制御し、必要なエリアは明るく、不要なエリアは暗くすることによって低消費電力化、高コントラスト化する。すなわち、点光源であるLEDの弱点を活かした方式である。

 ローカルディミングは、突き詰めるとバックライトにも画素を作り込むことと同義といえる。ひとつずつはcm単位のエリアだが、さらに細かくしていけば、それは画素に限りなく近づくからである。


roll-off現象

 燐光有機ELデバイスにおいて狭い再結合領域に三重項励起子を高密度で閉じ込めると、高駆動電流域で発光効率が低下する現象で、生成された三重項励起状態が消滅しやすい。

 

※今後も随時用語集を追加していく予定です。

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