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イノベーション・ジャパン2019(2019年8月29日〜30日)


イノベーション・ジャパン2019 グラフェンを触媒機能に用いて基板表面をウェットエッチング

8月29〜30日、東京ビックサイト・青海展示棟で開かれた「イノベーション・ジャパン2019」。ここでは、デバイス製造プロセス関連のWhat's Newをピックアップする。


写真1 グラフェンシートの種類とエッチング深さの関係


図1 グラフェン援用型エッチングの加工例

 大阪大学は、古くて新しいナノマテリアルであるグラフェンを用いたユニークなニュープロセス「グラフェン援用型エッチング法」を紹介した。シリコンウェハーなどの基板上にグラフェンシートを載せ、水系エッチャントでウェットエッチング処理することによって基板表面を直接エッチングする仕組みで、グラフェンはマスキングとは反対の役割を果たす。つまり、グラフェンの直下に当たる部分がグラフェンの触媒機能によって選択的にエッチングされる一方、それ以外の部分はエッチングされないわけである。

 もちろん、ファインパターニング向けではグラフェン触媒分散溶液を用いてフォトエッチング法やリフトオフ法といったフォトリソ法でパターニング可能で、パターニング後、最後にグラフェンを剥離する仕組み。ドライエッチング法に比べプロセスダメージが少ない一方、既存のウェットエッチング法に比べ異方性が高くエッチング深度が高くできるためハイアスペクト比の表面可能が可能というメリットがある。また、写真1のようにヒドラジン還元グラフェン(hyd-rGO)、酸化グラフェン(GO)、アンモニア還元グラフェン(amm-rGO)といったグラフェンシートの種類によってエッチング深度をコントロールすることができる。なお、エッチングレートは数十nm/hと現時点ではかなり低いが、用いるグラフェンシートやエッチャントを最適化すれば高速化も可能だという。

ホモ積層構造によって酸化物TFTのモビリティと安定性を両立


図2 2層酸化物TFTの構造と断面SEM像

 毎年、イノベーション・ジャパンで独自の酸化物半導体・デバイスを報告している工学院大学 相川研究室は今年もオリジナルの酸化物TFTを紹介した。図2のように、活性層を低ドープISO(In-Si-O)と高ドープISOの2層化したデバイスで、従来、トレードオフの関係にあったキャリアモビリティと動作安定性を両立させることに成功した。つまり、これまではSiO2ドーパント濃度の増加にともなってモビリティが低下していたが、これをホモ積層化によって解消した。

 そのモビリティは17.4cm2/VsとコンベンショナルなIGZO-TFTを大きくしのぎ、動作安定性もΔVon=0.2Vときわめて高い。また、ON/OFF電流レシオも107以上が得られる。もちろん、既存のマグネトロンスパッタリング法で低温成膜可能(室温〜250℃)で、フォトエッチング法でパターニングすることも容易だ。

基板をエッチング加工してμLEDを集積化


写真2 マイクロカップアレイによるμLEDの集積化
 同じく工学院大学の本田徹教授らの研究グループはTFT-LCDや有機ELディスプレイに次ぐ新たな高精細ディスプレイデバイスとして注目されるμLEDの画素制御技術としてマイクロカップアレイによる集積化を報告した。シリコンウェハーなどの基板をフォトリソで深エッチング処理してあらかじめ画素や電極の配置パターンを形成。完成した溝にμLEDチップをマニュアルまたはピック&プレースで実装する仕組みで、クロスロークが大幅に低減でき、光取り出し効率も向上するという。

REMARK
1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。
2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。

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