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JPCA Show 2019 (2019年6月5〜7日)


JPCA Show 2019 スクリーン印刷用Agペーストのデモが活発化

6月5〜7日、東京ビッグサイトで開かれた「JPCA Show 2019」。今回目立っていたのはプリンタブルエレクトロニクス用マテリアルで、ユニークなスクリーン印刷用Agペーストが相次いで紹介された。おもなトピックスをレポートする。


図1 焼成温度と比抵抗の関係

写真1 PETフィルムへの印刷サンプル
 今回もっとも目立っていたように見えたのが、ミノグループが紹介した仏ジンズインク社のスクリーン印刷用Agナノペースト「Smart Screen」。粒径100nm程度と比較的大きいナノAg粒子を主成分にしたペーストで、バインダレスなのが特徴。つまり、組成は主成分とアルコール・グリコール混合溶媒のみからなる。このため、焼成時に基板への収縮応力が発生せず、極薄フィルムで問題となっている反りやしわが発生しない。今回展示した25μm厚PETフィルムサンプルでも反りなどはみられず、100μmクラスのさらなる極薄サブストレートにも適用可能だという。

 また、このぺーストは濃度が55%程度と高いため、図1のように120〜180℃という低温焼成でも比較的低い比抵抗が得られる。実際、一般的なμmサイズAgペーストに比べ塗布膜厚は1μm程度と1/5に過ぎないのに、比抵抗は1/2程度になる。唯一の弱点は印刷解像度が150μmクラスとファインパターンに適していないことで、こうしたファインパターニング用途ではエッチング処理を適用するのが現実的とみられる。ちなみに、ミノグループはこのペーストを代理販売するとともに、印刷テストなどを請け負う。


写真2 タッチパネルを模した印刷サンプル
 一方、東洋インキはコンベンショナルなμmサイズAgペースト「REXALPHA RA FS 059」をデモ。マスプロダクションの連続印刷でも安定したパターン再現性が得られるのが特徴で、100ショットの連続印刷テストでは初期と変わらない印刷精度が得られていることをアピールした。標準的な印刷解像度はL&S=50μm/50μmだが、独自のアンカー材「RA AC 001」を下地に用いれば、印刷直後のにじみが抑制されるため、L&S=30μm/30μmクラスのファイン化が可能だ。ちなみに、膜の体積抵抗率は4×10-5Ω・cmとなっている。

グラビアシリンダー版市場にニューフェースが

 グラビア印刷用インフラでは、電鋳メタルマスクで知られるアテネがグラビアシリンダーロール版市場へ参戦することを表明した。デモは共同ブースで、しかも担当者も不在だったため、配布資料のみの説明になるが、グラビアシリンダロール上にNi膜を電鋳成膜・パターニングしたのが目新しい。いわゆる既存のウェットエッチング品に比べ加工精度に優れるとみられる。もちろん、DLC(Diamond Like Carbon)処理によって耐久性を高めることも可能だ。

サブストレートにスリットを入れてフレキシブルデバイスに

図2 曲げられるリジッド基板の構造

写真3 曲げられるリジッド基板
 PCBデバイスでは、メイコーテクノがユニークなフレキシブルPCBを披露した。図2のように、コンベンショナルなリジッド基板に開口スリットを入れることによってフレキシブル性をもたせたもので、とくにLEDチップを多数実装したフレキシブルLEDインテリアは存在感を放っていた。そのほか、アンテナや曲面スイッチなどさまざまなアプリケーションにも応用できそうだ。

REMARK
1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。
2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。

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