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インターネプコンジャパン/半導体パッケージング技術展/電子部品EXPO/プリント配線板EXPO/先端電子材料EXPO/ライティングジャパン2014(1月15〜17日)


インターネプコンジャパン/半導体パッケージング技術展/電子部品EXPO/プリント配線板EXPO/先端電子材料EXPO/ライティングジャパン2014
プリンタブルデバイス向けではオフセット印刷やIJ印刷が存在感をアップ
ライティングジャパンでは次々世代光源としてFELが名乗り

1月15〜17日、東京ビッグサイトで開かれた「第43回インターネプコン ジャパン/第15回半導体パッケージング技術展/第15回電子部品EXPO/第15回プリント配線板EXPO/第5回先端電子材料EXPO/ライティングジャパン2014」。おもなトピックスをレポートする。

 まずプリンタブルエレクトロニクス関連では、東海商事が高精細かつ高速印刷可能なプリンティングマシンとしてオフセット印刷機を紹介した。今回強調したのはWet on Wet、つまり重ね印刷が容易なことで、テストサンプルではPETフィルム上にAgインクを2回印刷し、一括焼成によって膜厚5〜6μmの配線パターンを形成した。線幅は20〜30μmで、オフセット印刷機は最大500×600o基板に対応できるという。

 一方、スクリーン印刷機メーカーのマイクロ・テックはフォトリソグラフィのひとつであるリフトオフ法にもスクリーン印刷を適用することを提案。瓦応化学工業の非感光性エッチングペーストをL/S=30μm/30μmで印刷したサンプル、そしてこのインクをエッチングのマスキングパターンに用いたリフトオフ法でパターニングしたサンプルを展示した。いうまでもなく、FPC分野ではリフトオフ法はフォトエッチング法と印刷法の中間的な位置づけとなるが、すでに一部で量産採用されているようだ。


写真3)R&D用IJ装置(セーレン)

写真2 IJ法で作製した3D加工例(セーレン

写真1 リフトオフ用レジストペーストのスクリーン印刷サンプル(マイクロ・テック)

 印刷関連で異彩を放っていたのがセーレン。同社はフォトエッチング法から印刷法まで多岐にわたる受託パターニング事業を手掛けているが、今回はインクジェットプリンティング(IJ)法を全面にデモを敢行。写真3のように、場所によってIJ滴下回数を異ならせることにより3D感覚が得られる3Dマット加工サンプル、またFPCへのダイレクトIJ印刷サンプル、さらにR&D用IJ装置を展示した。もちろん、最大のターゲットはデバイスの受託加工だが、R&D向けとして自社開発したIJ装置も販売するとしている。

CCLも超薄型化が進行


写真5 Roll to Roll対応透明ハイブリッドポリイミドフィルム(ITRI)

写真4 極薄CCL(住友金属鉱山)

 FPC用マテリアルでは、住友金属鉱山が世界最薄の5.5μm厚2層CCL(Copper Clad Laminate)を披露。東レの5μm厚ポリイミドフィルムにCu層を膜厚0.5μmで無電解めっき成膜したもので、520o幅で10%以内という膜厚ユニフォミティを実現。表面平滑性もRa=0.05μmを確保した。この膜厚ならセミアディティブ法によって線幅20μmクラスのファインパターンが形成できるとしている。

 一方、台湾のIndustrial Technology Research Institute(ITRI)は有機ELディスプレイをはじめとするフレキシブルデバイス向けとしてRoll to Roll対応の透明ポリイミドフィルムを展示した。ポリイミド樹脂に無機シリカを混合したハイブリッドフィルム(厚さ0.05o)で、89.5%という可視光透過率を確保。耐熱性も400℃以上を誇る。

次世代照明デバイスとして有機ELがさらに存在感をアップ

 ライティングジャパン2014では、LEDとともに有機EL照明デバイスがさらなるプレセンスをみせつけた。まずはルミオテックで、アドバンストモデルとして輝度4000cd/m2の145×145oデバイスを披露した。青色蛍光ユニット、緑色燐光ユニット、赤色燐光ユニットを直列で接続したマルチフォトンエミッション構造で、寿命は4万時間、つまり10年を確保した。発光効率は45lm/W、色温度は4000K。今年半ばに「PO9シリーズ」としてリリースする。なお、価格は3万円程度を想定している。


写真8 有機EL照明デバイス(LG Chem)

写真7 メイン照明用有機EL照明デバイス(Philips)

写真6 超高輝度有機EL照明デバイス(ルミオテック)

 一方、蘭Philipsも自社開発した125×125oデバイスを披露。こちらは青緑発光層と橙色発光層をスタックした2波長型シングルユニット素子で、発光効率は45lm/W。写真7のように、有機ELなら室内のシーリングライト向けとしてファッショナブルな次世代照明が可能になることを強調していた。

 ここにきて有機EL照明デバイス市場への進出が相次いでいるケミカルメーカーからは、韓国LG Chemが出展。日本では代理店の東雲LCD社が有機EL照明モジュールを販売していることをアピールした。燐光発光材料以外、ほとんどの有機材料を内製化しているのが特徴で、写真のように各種サイズをラインアップ。フラッグシップモデルは極薄ガラス基板を用いた曲面デバイスで、日本電気硝子製のフレキシブルガラス基板「G-Leaf」を用いることにより曲面化した。

溝の側壁からCNTをエミッションさせるFELが


写真9 溝から水平方向に伸びたCNTエミッタ(DOWAエレクトロニクス、東北大学)


写真10 FEL(DOWAエレクトロニクス、東北大学)


図1 CNTエミッタのイメージ図(DOWAエレクトロニクス、東北大学)

 有機ELに次ぐ次々世代平面光源として期待されるフィールドエミッションランプ(FEL)では、昨年に続き、DOWAホールディングスが東北大学と共同開発したカーボンナノチューブFELをアピールした。径10nm前後のシングルウォールナノチューブ(SWCNT)をバインダや溶剤に分散させて基板上に塗布したCNTエミッタを用いたFELで、現時点でも発光効率40lm/W、しきい値電界0.5〜1.3V/μmとまずまずのポテンシャルを誇る。

 最大の特徴はCNT膜を塗布後、レーザー照射やサンドブラスト処理といった起毛処理をしないことで、それでも上記のように起毛処理CNTエミッタと遜色ないフィールドエミッション特性が得られる。昨年はそのメソッドをシークレットにしていたが、今回はそのメカニズムを明らかにした。CNT膜塗布後、深さ数μmの溝を一方向に形成し、できた溝の側壁に存在するSWCNTからエミッションさせるという。つまり、図1のようにSWCNTは寝た状態でランダムに存在するものの、溝の側壁に対して垂直方向(基板からみると水平方向)に配向する。エミッションするのはこの部分のSWCNTだけで、残りは膜中に埋まるか、寝ているため、エミッションしない。つまり、溝がある部分だけがエミッションする。すなわち、エミッションサイトの位置を溝の形成によって制御することができる。その手法については従来はライトエッチングをはじめとするケミカル処理を用いていたが、最近ではブレード法などメカニカル法に変更。この結果、処理均一性も向上したという。溝のディメンジョンは現在、幅が50μm、ピッチが100〜300μm。このクラスならいわゆるメカニカル法でも比較的容易に形成できるようだ。

 今回公開したのは15×15oの小型デバイスで、昨年のように真空チャンバ内で発光させるのではなく、写真1のようにパネル化。発光しないエリアが肉眼で観察できる、いわゆる“ミジンコ現象”もみられず、小型ながらも発光ユニフォミティは高く感じた。

ナノダイヤモンドFELでまずUV面光源を

 一方、FPD用プラズマ関連装置メーカーとして知られるワイエイシイもFEL市場に参戦することを表明。高知工科大学発のベンチャー企業「NDマテリアル」が開発したナノダイヤモンドエミッタを用いたFELを初めて公開した。


図2 発光スペクトル(ワイエイシイ)


写真11 ナノダイヤモンドエミッタ(ワイエイシイ)

 ニューエミッタとして注目されるナノダイヤモンドは、写真11のようにナノサイズの凹凸構造を持ったカーボンナノエミッタ。膜はグラファイトとダイヤモンドが混在していることに加え、先端が鋭利な他のエミッタに比べ形状劣化によるエミッション特性の変化が少ないため、安定したフィールドエミッションが得られる。

  写真12のように、まずシリコン基板上にシードとしてメタンガスを原料に用いて触媒レスでカーボンナノウォール(CNW)をプラズマ成膜する。この後、H2などのパージガスやプロセス条件を変更することによって、万里の長城ライクになったCNW上にナノダイヤモンド膜を成長させる。成膜温度はマックス1000℃で、もちろん同一チャンバ内で連続成膜する。膜厚はそれぞれ5μmの計10μmで、その成膜には5時間程度を要する。ただ、ワイエイシイの試作デバイス用プラズマCVD装置は6×6oのテストデバイスが285枚が収容できるため、トータル的に考えるとスループットが問題になる可能性は少ないという。エミッションはナノダイヤモンド膜の窪みから出ているという説が有力だが、まだメカニズムは完全に解明されていない。特筆されるのはその安定性とエミッション特性で、しきい値電界は0.8V/μmとCNTエミッタを凌駕する。


写真12 可視光用FEL(ワイエイシイ)

写真13 紫外光用FEL(ワイエイシイ)

 ワイエイシイはこのエミッタを用いて高電圧型FELを試作。スペックは輝度が最高60万cd/m2、発光効率が50〜60lm/W。ライフは使用する蛍光体に律速されるものの、エミッタ自体は2万時間後も安定したフィールドエミッション特性が得られている。

 前記のDOWAホールディングスを含め他社と異なるのはアプリケーション戦略で、まずは面光源がないUV分野を狙っている。いうまでもなく、可視光分野ではLEDや有機ELといった強豪がひしめいているためで、200〜430nmの紫外光領域向けの面光源デバイスとして提案している。実際、図2のように用いる蛍光体によってさまざまスペクトルが得られ、UV領域向けでは殺菌、乾燥・硬化・接着、脱臭・減菌・洗浄・光触媒など多様な用途に展開できる。つまり、超高圧水銀ランプから低圧水銀ランプ、そしてエキシマランプまでもリプレースできるポテンシャルを有する。一方、セカンドターゲットである可視光向けでも写真のようにプロトタイプを披露。蛍光体の選択によって高輝度&高効率な面光源デバイスが容易に実現する点をアピールしていた。

 ワイエイシイは基本的に装置メーカーだけに、実用化はかなり先ではと質問したところ、説明員は「すでに評価用としてプロトタイプをサンプル出荷中」と回答。すでにFEL事業部があると聞いて驚かされたのが正直な感想だった。


REMARK
1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。
2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。

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