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ライティング・フェア2011(3月8日〜3月11日)


ライティング・フェア2011 有機ELが次世代照明デバイスとしてオーソライズ
デバイスメーカーと照明器具メーカーが相次いでプロトタイプを展示

 3月8日〜11日、東京ビッグサイトで開かれた「ライティング・フェア2011」。最終日は東北関東大地震が発生し混乱を極めたが、ここでは有機EL照明デバイスに関するムーブメントをレポートする。


写真1 フレキシブル有機ELデバイス(ローム)

 全体的には今回も主役は引き続き白色LEDだったが、LEDに次ぐ次世代照明デバイスとして有機ELが完全にオーソライズされた格好。

 まずデバイスメーカーでは、ロームが合弁会社「ルミオテック」の白色デバイスを展示。今年1月から145×145oサイズを中心に量産中で、電球色と昼白色の2種類をラインアップ。輝度は2700〜2800cd/m2、輝度半減寿命は初期輝度3000cd/m2で1万時間以上だ。当面はテーブルランプや読書灯といったインテリア照明、美術品や工芸品向けのライトアップ光源などの高付加価値製品からの需要を見込んでいる。

 ロームはルミオテックとは別に独自開発したフレキシブルデバイスも参考出展。板厚0.05oの超薄板ガラス基板の下(デバイス側からみて)にプラスチックフィルムをラミネートしてフレキシブル化したもので、厚さはわずか0.3oに過ぎない。また、フレキシブル性を示す曲率半径もR>25oを実現した。こちらは発光ユニットをスタックするマルチフォトンエミッション(MPE)ではなくシングル発光ユニット構造で、ブースでは写真1のように光るブレスレットなど新しいアプリケーションが創出できることをアピールしていた。
 


写真3 暖白色有機ELデバイス(パナソニック)

写真2 有機EL照明デバイス(カネカ)

  旧東北デバイスとアイテスの有機EL事業を買収し照明用有機ELデバイス市場に名乗りを上げたカネカは、近く国内と欧州でリリースするデバイスを展示。サイズは40×40o、77×77o、170×17o、170×32oの4種類で、それぞれ赤色、橙色、白色、青色、緑色をラインアップ。白色デバイスの色温度は2500〜3000K。もちろん欠陥フリーだったが、展示したのは上記デバイスのみで、ネックストジェネレーションデバイスの展示はなかった。

 パナソニックは子会社のパナソニック電工が試作した暖白色デバイスを公開した。サイズは80×80oで、デバイス構造は明らかにしなかったものの、RGB3波長だという。このため、平均演色評価数もRa=90と最高スペックを実現。輝度は3000cd/m2で、初期輝度の70%になるまでの寿命は1万時間とのこと。ただ、試作デバイスは輝度ムラが認識されるなど完成度はいまひとつに感じた。ちなみに、使い勝手を考え、このデバイスをセットする樹脂フレームを新たに開発。説明員はデバイスの取り外し、取り付けが容易な点を強調していた。パナソニックグループでは有機ELを搭載した照明器具を製品化する一方、デバイスメーカーとして照明器具メーカーにもデバイスを外販する考えで、1年後の2011年度末の量産出荷を計画している。

新規参入メーカーや海外メーカーもデモ


写真6 発光する鏡(Novaled)
※中央にあるパネルは消灯しているので通常の鏡として機能する。

写真5 有機ELを用いたインテリア照明(Osram)

写真4 有機EL照明デバイス(NECライティング)

 既存の上記3社に対し、今回新たにデバイス市場進出を宣言したのがNECライティング。山形大学や旧有機エレクトロニクス研究所などの協力を得て有機ELデバイスを自社開発したもので、有機EL照明を「LIFEEL(ライフィール)」とネーミング。LIFE、FEEL、ELを合わせた造語で、“生活のなかで有機EL照明の光のやさしさやあたたかさを感じて欲しい”という意味がある。ブースには80×80oサイズを100枚近く展示。滋賀県甲賀市に導入した2200×200oマザーガラス対応初期量産ラインで内製した。デバイスはシングルユニット構造ながら燐光発光材料や光取り出し効率改善フィルムを用いることによりマックス60lm/Wに高効率化。2011年度から照明器具に加え、デバイスも量産するとしている。

 海外勢では独Osramが三菱電機オスラムのブースで有機ELモジュール「ORBEOS」を披露。径79oの丸型デバイスで、色温度は2800K、消費電力は0.65W。ブースでは、このORBEOSを縦方向に配置したインテリア照明器具を展示。その斬新なデザインが来場者の注意を引きつけていた。

 一方、p型、n型ドーパント材料の販売やライセンス供与を手掛ける独Novaledはガラス製デバイスとSUS製デバイスを展示した。前者は半透過型カソードなどを用いることにより可視光透過率70%を実現。消灯状態では背面が透けて見える透明ウィンドウになるのが特徴。他方、後者は背面サブストレートにSUS、前面サブストレートにガラスを用いたトップエミッション構造で、発光時にはインテリア照明、消灯時には通常の鏡として機能する。なお、発光効率はどちらも赤色と緑色に燐光材料を用いることにより30lm/Wクラスだという。

照明器具メーカーも有機ELで新たなアプリケーションを開拓

 上記のようにデバイスメーカーのアグレッシブなデモに呼応する形でユーザーである照明器具メーカーも相次いで有機EL照明を出展した。まず、オーデリックはルミオテックの145×145oデバイスを鏡の裏に6枚配置した“光るミラー”を展示。有機ELならではという多彩なアプリケーション可能性を示した。


写真8 調光/調色変型有機EL照明デバイス(DNライティング)

写真9 有機EL照明サンプル(BJB)

写真7 有機EL内蔵ミラー(オーデリック)

 DNライティングは三菱化学の調光/調色型有機ELデバイスを披露。デバイスをパッシブマトリクス駆動パネルのようにパターニングすることにより色を自在に変えられる点をアピールした。

 そのほか、独BJBは独自開発した取り付け・接続用コネクタを実装した有機EL照明サンプルを公開。パネルはOsramのORBEOSを用いた。


REMARK
1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。
2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。