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電子機器トータルソリューション展2025 (2025年6月4〜6日)


電子機器トータルソリューション展2025 1μm解像度マスクレス露光装置が脚光

6月4日〜6日、東京ビッグサイトで開かれた「電子機器トータルソリューション展2025」。今回は印刷プロセスやレーザー直描露光プロセスに関する展示が目立っていたように感じした。おもなトピックスをレポートする。


写真1 各種フィルムへのCu配線サンプル
 まず配線形成プロセス関連では、日本化学工業が光焼成用Cu2Oペースト「キュライト」を提案した。その名の通り粒径100〜200nmのCu2O(亜酸化銅)を主成分にしたペーストで、各種印刷法で印刷した後、有機溶媒を揮発させるため80℃程度で乾燥。その後、キセノンランプから白色光を照射することでCu膜に還元する。その光焼成時間は1〜3msecと瞬時に硬化する。光焼成によって印刷膜は高温になるが、局所加熱のためサブストレートに対する熱ダメージはない。このため、ポリイミドフィルムはもちろんのこと、PETフィルムや紙など耐熱性の低いサブストレートにも使用できる。気になる体積抵抗率は20μΩ・cmとバルクの10倍程度。

 スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷など各種印刷法で印刷でき、線幅25μmクラスまでのファイン印刷が可能。ブースでは各種印刷法・基板で印刷したサンプルを披露。FPCに加え、タッチパネル用微細透明電極、電磁波シールド、HF/UHFアンテナなどに有効なことをアピールした。ちなみに、較的粒子径が大きいため、インクジェットプリンティング法はノズル目詰まりの懸念から対応できないとのこと。

次世代半導体パッケージ基板として大型ガラスコア基板が登場


写真2 CO2レーザー加工したガラスコア基板
 サブストレート関連では、日本電気硝子が次世代半導体パッケージ向け基板材料として515×510mmサイズの大型TGV(Through Glass Vias)ガラスコア基板を披露した。レーザー改質・エッチング加工対応基板と、CO2レーザー加工対応基板を公開。基板厚は0.4mmまたは0.5mmで、径50〜90μmの微細ビアが加工できる。なお、TGV加工レスの未加工基板も用意。いずれも2028年の量産開始を目指している。

マスクレス露光も1μm時代に

 製造装置関連では、レーザー直描によるマスクレス露光装置の存在感が際立っていた。なかでもオーク製作所は線幅1μmクラスが描画可能なマスクレス露光装置をアピール。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)プロジェクトの開発成果としてドライフィルムフォトレジスト(DFR)を用いて線幅1.2μmのファインラインがパターニングできたことを誇示した。


写真3 ダイレクト露光装置のイメージ模型
 具体的には、旭化成の膜厚1μmのDFRを基板にラミネートしてマスクレス露光。続いて、奥野製薬工業の硫酸化銅めっき液をめっき塗布し、DFRを剥離してめっき配線を形成。最後に、三菱瓦斯化学のエッチャントを用いてクイックエッチングしてCu膜をさらにファイン化する仕組み。線幅はマスクレス露光後で1.2μm、めっき&剥離後で3.2μm、エッチング後で2.5μmとなる。レーザー直描でかつDFRを用いて線幅1μmクラスのファインラインが得られたことはイノベーションといっても過言ではないように感じた。

はんだペーストをグラビアオフセット印刷したMicro-LEDの完成度が向上

 他方、印刷機では印刷のトータルサプライヤー、セリアコーポレーションがグラビアオフセット印刷機を大々的にピーアールした。


写真5 緑色単色Micro-LED

写真4 ファイン印刷サンプル
 展示内容は1月の「第39回ネプコンジャパン」とほぼ同じだったが、サカタインクスのCuインクを用いた微細印刷への挑戦では印刷解像度を従来のL&S=10μm/12μmから7μm/12μmとさらにブラッシュアップ。いわゆる印刷カテゴリーでは解像性でグラビアオフセット印刷が一歩抜け出た印象さえ受けた。

 一方、はんだペーストのドット印刷ではTFT基板上の径18μmドットにはんだペーストを印刷した後、レーザーリフトオフ法でLEDチップをダイレクト実装した緑色Micro-LEDを展示。こちらはネプコンジャパンでは非点灯箇所が目立っていたが、今回は点灯率95%以上とかなり完成度が上がっていた。

REMARK
1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。
2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。


ステラ・コーポレーションのフィルムマスク貼り付け装置

フィルムマスクでガラスマスク並みの寸法安定性が得られます。