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インターネプコンジャパン/半導体パッケージング技術展/プリント配線板EXPO/ライティングジャパン(1月13〜15日)


インターネプコンジャパン/半導体パッケージング技術展/プリント配線板EXPO/ライティングジャパン
ウェアラブルデバイス用材料のデモに新鮮味が

 1月13〜15日、東京ビックサイトで開かれた「第45回インターネプコンジャパン/第33回エレクトロテストジャパン/第17回半導体パッケージング技術展/第17回電子部品・材料EXPO/第17回プリント配線板EXPO/第6回微細加工EXPO/第8回ライティングジャパン」。最近のトレンドのせいか、ウェアラブルデバイス向けのテクノロジーが多く目についた。おもなトピックスをレポートする。

 ウェアラブルデバイス向けマテリアルで存在感を放っていたのがパナソニックで、ストレッチャブル樹脂フィルム/透明電極材料/導電性材料を披露した。樹脂フィルムはエポキシ系の透明フィルムで、2.5倍以上に伸ばすことができるのが特徴。それでいて応力緩和率は60%以上と高く、強い復元力特性によってヒステリシスも発生しない。耐熱性も熱分解温度325℃とフレキシブルデバイス製造プロセスに十分耐えうる。


写真2 ストレチャブルディスプレイ(パナソニック)

写真1 ストレチャブル樹脂フィルム上に導電性Agペーストを印刷したサンプル(パナソニック)

 一方、透明電極材料はシングルウォールカーボンナノチューブ(CNT)をフィルム上に全面塗布したもので、光透過率は88%、シート抵抗値は300Ω/□。ただ、こちらはレーザードライエッチング法でしかパターニングできないという。他方、導電性材料はAgフィラーを主成分にしたAgペーストで、スクリーン印刷をはじめとする各種印刷法でダイレクトパターニングできる。焼成温度も140℃と低く、比抵抗は10-4Ω・cmクラスを確保。どちらの導電材料とも10%以上の伸縮性があり、曲げ動作を繰り返しても電気特性が劣化したり剥離したりする危険が少ないという。

 写真1はストレッチャブル樹脂フィルム上に導電性Agペーストを印刷したサンプルで、背面からのメカニカル圧力によって自在にストレッチする様子をデモ。一方、写真2はCNT透明電極付きストレッチャブル樹脂フィルムを2枚貼り合わせて作製したマイクロカプセル型電気泳動ディスプレイで、電子ペーパーとして動作可能なことを実証。電子ペーパーを含めウェアラブルデバイスに最適なことをアピールしていた。ちなみに、同社はこの三つの材料を供給するというスタンスで、配線材料をパターニングした半完成品を供給するわけではないという。

平面基板に印刷・塗布後に成形することも可能  


写真3 Denatronを塗布したPET成形物(長瀬産業)

  長瀬産業は、伸縮自在で印刷可能な透明導電材料「Denatron」をアピール。代表的な導電性ポリマーであるPEDOT/PSS(ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸)をベースにした水系材料で、スクリーン印刷などで印刷することも、ディップ塗布などの各種塗布法でコーティングすることもできる。もちろん、写真3のように曲面構造物にも印刷・塗布可能だ。さらに、平面状のサブストレートに塗布した後、サブストレートを成形加工することもできる。このうち、ストレッチャブルモデル「SPS-800」は表面抵抗率こそ150〜5000Ω/□とさほど導電性が高くないものの、伸縮性は200%以上を実現。繰り返し伸縮しても特性が劣化しにくいという。

新たなコンセプトで高密着性を確保したAgナノ材料が

 長瀬産業は、ウェアラブルデバイスを含めたフレキシブルデバイス向けとして低温焼成型Agナノインクも紹介。120℃という低温焼成で10μΩ・cmという高導電性が得られるのも特徴だが、最大の武器はサブストレートに対する高い密着性にある。


写真4 密着性の比較(長瀬産業)

 周知のように、ナノペースト・インクは主成分であるナノパウダーひとつひとつに有機保護膜をつけて独立分散状態を確保しているが、その密着性が強すぎると基板上に印刷〜焼成した後も保護膜が残留して独立分散状態が完全にほどけなかったり、写真4の左のようにボイドが発生する。これに対し、今回のAgナノインクは焼成後は密着層として機能する特殊熱硬化液状接着成分を保護膜に使用。この結果、写真4の右のようにボイドレス化が可能になる。もちろん、PETフィルムをはじめとする樹脂フィルムはもちろんのこと、ガラスやシリコンウェハーといったリジッド基板にも表面処理レスで高い密着性が得られる。

大型タッチパネルでCu合金の採用がスタート


写真6 デュアル発光有機EL照明パネル(住友化学)

写真5 Cu合金膜を成膜したPETフィルム(大同特殊鋼)

 大型タッチパネル向けでは、大同特殊鋼がメタルメッシュ用Cu合金スパッタリングターゲット材「STARMESH」を披露した。Cuを主成分にした3元ターゲットで、1レイヤーで画像部のメッシュ配線と引き出し配線が同時に成膜・パターニングできる。もちろん、Cu合金だけに比抵抗は5.94〜7.48×10-6Ω/□とITOとは比較するまでもない。また、スパッタリング成膜時の酸素分圧によって反射率をコンロトールすることが可能で、ミニマム10%という低反射率が得られる。もちろん、一般的なCu用エッチャントでエッチングでき、成膜時に基板を加熱する必要もない。すでに大型タッチパネル向けとして一部量産採用されており、気になる価格も「コンベンショナルなITOターゲットと同程度」だという。

住友化学が高分子有機EL照明パネルを量産

 ライティングジャパンでは、住友化学が高分子有機EL照明パネルをデモ。主力製品として109×109oパネル(発光エリア94×94o)を量産出荷中であることをアピールした。いわゆるデザイン照明向けで、価格は単色タイプが8000円、デュアル(2色、絵柄付き)タイプが1万円。有機層はインクジェットプリンティング法で塗布・印刷したもので、デュアルタイプは場所によって色を塗り分けた。実質的に世界唯一といえる高分子パネルだけに寿命が気になるが、初期輝度に比べ70%減衰で数万時間を確保。ただ、発光効率は2.8〜4.6lm/Wと低いため、当面はデザイン照明など付加価値型分野に専念するとしている。

フレキシブルガラスを用いてRoll to Roll方式で有機ELパネルを試作


写真7 黄色単色発光パネル(日本電気硝子)

 他方、日本電気硝子は独Fraunhoferが極薄フレキシブルロールガラス「G-Leaf」を用いてRoll to Roll方式で試作した有機EL照明パネルを披露した。両社によると、フレキシブルガラス製有機ELパネルをRoll to Roll方式で試作したのは世界初だという。試作ラインはマックス300o幅まで対応可能で、低分子有機膜とメタル膜を蒸着した後、プラスチックフィルムで封止した。写真7は黄色単色発光の試作パネルで、製造プロセスが最適化されていないこともあり、全面発光というレベルではなかった。

 

 

 

 


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