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ファインテックジャパン2020 (2020年12月2〜4日)


ファインテックジャパン2020 フレキシブルディスプレイ向けマテリアルに新鮮味


写真1 透明TFT-LCD

12月2〜4日、幕張メッセで開かれた「ファインテックジャパン2020」。新型コロナ感染対策の徹底など厳戒態勢のなかで開催されたが、来場者数は例年とさほど変わらないようにみえ、リアル展示会に対するニーズが根強いことを実感させられた。おもなトピックスをレポートする。


JDIが透明TFT-LCDをアピール

 まずディスプレイモジュールメーカーでは、今年もジャパンディスプレイ(JDI)が唯一出展。今回のフラッグシップは独自開発した12.3型透明TFT-LCD(1440×540画素)で、カウンター越しに設置する透明パーテーションディスプレイをイメージしたデモを敢行した。

 コンベンショナルなTFT-LCDと違い偏光板やカラーフィルターは不要で、RGB-LEDバックライトを順次高速点灯させて時分割駆動するフィールドシーケンシャル駆動によってカラー表示する。具体的には液晶セルには新規液晶を用い、スイッチONでこの液晶が散乱状態となりバックライト光が透過、OFFで液晶の白濁によってバックライト光を遮蔽する仕組み。可視光透過率が87%と競合する透明有機ELディスプレイに比べ高いのが特徴で、輝度は150cd/m2、コントラストは30:1を確保。ただ、表示色は4096色に過ぎないので、カラー表示としては物足りない感が否めなかった。

日本電気硝子が超薄板ガラスなどで存在感


写真3 フォルダブルディスプレイ用化学強化専用ガラスのデモ

写真2 基板と封止にG-Leafを用いた緑色有機EL
 ディスプレイ用マテリアルでは、日本電気硝子がトピックスを連発した。まずは、YU-FIC(INOEL:山形大学フレキシブルエレクトロニクス日独国際共同実用化)プロジェクトが試作したフレキシブルロールガラス「G-Leaf」製有機EL照明デバイスを披露。厚さ50μmのG-Leafをサブストレートに加え封止基板にも用いた固体封止デバイスで、IZO透明アノード、Agアノード補助電極、絶縁層、有機EL層、カソードともRoll to Rollプロセスで試作した。

 同社は新型ディスプレイとして注目されているフォルダブルディスプレイ向けでもWhat's Newを演出。フォルダブルディスプレイのカバーガラスとして化学強化専用ガラス「Dinorex UTG」をアピールした。TFT-LCD用ガラス基板の製造方法であるオーバーフロー法で製造したもので、破壊強度は1000MPa以上をマーク。曲げ性を示す曲率半径は1.5oで、ブースでは写真3のように曲げ伸ばしを繰り返すデモを敢行。十分なフレキシブル性が得られることを実証した。

大日本印刷が新たな透明配線フィルムやダイレクト印刷技術を発表


写真5 Agナノワイヤーインクをダイレクト印刷したサンプル

写真4 透明配線フィルムのデモ
(左が開発品、右が従来のITOフィルム)
 一方、大日本印刷も新たな配線技術を相次いでアピールした。まずはポストITOとして開発した透明配線フィルムで、Cu系材料を独自開発したフォトリソグラフィによって線幅1μmクラスにファイン化。全光線透過率は84%以上で、シート抵抗値もITO電極の50〜100分の一の当たる1〜2Ω/□が得られる。PETをはじめ各種プラスチックフィルムに対応可能で、Roll to Rollプロセスで大面積化対応も可能だという。まずは8インチクラスまでの中型アプリケーションをターゲットにしているが、将来的には窓ガラスなどの大面積用途に展開したい考えだ。

 また、同社は新たなダイレクトプリンティング技術を発表。一般的なディスペンサ印刷技術をモデファイしたニュープロセスで、平面形状だけでなく、3D形状にもインクをダイレクト印刷できるのが特徴。その印刷解像度は30μmクラスまでファイン化可能だ。ブースでは、Agナノワイヤーインクをダイレクト印刷したサンプルを展示。ただ、数cm印刷するのに5分程度とかなり時間がかかるため、用途は各種コンポーネントなど少量多品種の高付加価値型アプリケーションに限定されそうだ。

REMARK
1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。
2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。

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