会社概要 製品情報 展示会 サポート/ダウンロード お問い合わせ サイトマップ

 Special Serialization■図解!! PDPの構造と製造プロセス
第11回 アドレス電極形成プロセス

 背面基板上に形成されるアドレス電極は、基本的にバス電極と同様の工法で形成されるが、まず最初に背面基板上に設けるパターンになるため、重ね合わせ精度が不要で、デザインルール自体もさほど厳しくない。このため、同じメタル電極でもバス電極に比べ作製が容易といえる。

 従来は感光性ペースト法・感光性テープ法とスパッタリング成膜+フォトエッチング法が中心だったが、プロセスコスト削減のため、07年からグラビアオフセット印刷法が量産採用されている。 また、感光性ペースト法でもAgペーストの使用量を削減するため、フォト法とプリンティング法を併用する動きも目立ってきた。下図のように、スクリーン印刷でラフに感光性Agペーストをパターン印刷した後、マスク露光〜現像によって正確にトリミングする方法が代表的だ。 


感光性ペースト法


 以前は電極形成プロセスのメイン工法だったが、近年では他の工法にリプレースされており、2010年現在はLG Electronicsが量産採用しているに過ぎない。

感光性ペースト法(改良型)

 プロセスコスト削減のため、07年からパナソニックが量産採用している。

感光性テープ法

 従来は日立プラズマディスプレイやパイオニアが量産採用していたが、両社ともモジュール事業から撤退したため、現在は量産採用されていない。

グラビアオフセット印刷法

※印刷後に乾燥・焼成

 07年からSamsung SDIが量産採用。従来の感光性ペースト法に比べ劇的なコストダウンが望めるだけに、今後主流になる可能性も。

フォトエッチング法(Cr/Cu/Cr)

 富士通が20型クラスPDPの量産当初から採用してきた関係で日立プラズマディスプレイが量産採用してきたが、同社のモジュール事業からの撤退により、現在量産採用しているメーカーはない。

フォトエッチング法(Cu-Cr分離合金)

 Cr-Cu合金ターゲットは日立金属が開発。日立プラズマディスプレイが一時量産採用していたが、同社のモジュール事業からの事実上の撤退により、現在量産採用しているメーカーはない。

スクリーン印刷法


 量産採用しているのはOrion PDPとCOC Display Devices(中国)。

フォトエッチング法(Cu合金、Ag合金)
レーザードライエッチング法

インクジェットプリンティング法


 富士通研究所が試作パネルを発表したこともあるが、ナノAgインクが高価なことや厚膜化が面倒なことから量産採用には至っていない。

リフトオフ法



 この工法はPDPの量産当初から検討されていたものの、感光性ペースト法とスクリーン印刷法の中間的性質からこれまで量産採用されたことはない。

感光性フィルム粘着法

@焼成温度の低い粘着性部分が300℃程度でバーンアウトされる→トナーパターンが下へ落ちる
A焼成温度が400℃以上になると粘着性が消滅した部分もバーンアウトされ、トナーパターンだけが残る

凹版または凹版オフセット印刷法

※印刷後に乾燥・焼成

■工法の比較

形成法
xy精度
膜厚精度
比抵抗
フルHD対応
大型化
実績
コスト
工程数/タクト
装置コスト
直接材料コスト
間接部材コスト
歩留り
トータル
スクリーン印刷法
×
凹版(または凸版)オフセット印刷法
×
グラビアオフセット印刷法
IJ法
×
×
フォトエッチング法
(Cr/Cu/Cr)
×
×
×
×
フォトエッチング法
(Cr/Cu-Cr分離合金)
フォトエッチング法
(Cu合金)
×
フォトエッチング法
(Ag合金)
×
レーザードライエッチング法
感光性ペースト法
(スタンダード)
感光性ペースト法
(スクリーン印刷併用)
感光性テープ法
×
感光性フィルム粘着法
×
リフトオフ法
×
×
×


過去の連載はこちら