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 Special Serialization■図解!! PDPの構造と製造プロセス
第1回 PDPの構造

 薄型テレビの一角を担うPDP。近年、一般家庭にも浸透し、普及の目安だった価格もインチ=5000円に達し、TFT-LCDとともに薄型テレビ市場を切り開いた。

  その一方で、TFT-LCDとの薄型テレビ競争も激化し、一部の日本メーカーや台湾メーカーはPDPモジュール事業から相次いで撤退。今後もTFT-LCDとの熾烈なコストダウン競争を生き抜いていくには強力なコストダウンが絶対条件といえる。また、TFT-LCDに対抗するため、ここにきてフルHDパネルの製品化が相次ぐなど製造プロセスも変革を迫られている。

  そこで、本連載ではPDPの製造フローを現状から次世代まで徹底検証する。

ストライプ構造セル



 ストライプ構造セルはAC面放電型PDPの原型といえ、この構造がカラーPDPを実用化したといっても過言ではない。左図のように垂直方向にバリアリブをパターニングしてセルを形成するため、両面基板を貼り合わせる際も精密なアライメントが不要で、パネル組立後の排気工程も比較的高速でセル内を所定の圧力に排気できるといったメリットがある。

 その反面、左図のようにクロストークの危険から垂直方向の解像度が犠牲になる、つまり有効開口率を低くせざるを得ない。また、発光効率を左右する蛍光体層もバリアリブの側面と底部の計3面にしか形成できない。このため、高輝度化・高効率化という点ではクローズドセルに比べ劣る。したがって、ここにきてクローズドセルからデファクトスタンダードの座を奪われた。今後も高輝度化・高効率化・高精細化が進むため、ストライプ構造セルは姿を消すとみられる。

採用メーカー:Orion PDP、COC Display Devices


クローズド構造セル
マトリクス構造



 クローズド構造セルはその名の通り放電セルを完全に仕切ったセル構造で、ストライプ構造セルのウィークポイントを解消する狙いがある。

 クローズドセルは長方形状のマトリクス、六角形形状のハニカム、Hexagonなどに大別されるが、隣接セルとのクロストークの危険がなく、蛍光体層の面積を拡大できるという特徴は同じである。左図は一般的なマトリクス構造で、セルが完全にセパレートされているため、前面基板上の透明誘電体層に排気用の段差を設ける必要がある。

採用メーカー:LG Electronics、Samsung SDI

マトリクス構造(段違いリブ)




 マトリクス構造セルながら排気性を改善したのが段違い構造リブ。左図のように、水平方向のリブを垂直方向のリブよりも低くして排気用のスリットを設ける。いうまでもなく、このスリットサイズによって垂直方向の解像度やクロストークの発生確率が左右される。

 水平方向のリブと垂直方向のリブの高さを異ならせる方法は、@両方向のリブをパターニングした後、垂直方向のリブだけをスクリーン印刷などで高くする、A水平方向のリブと垂直方向のリブの焼成収縮の差を利用して自己整合的にスリットを設けるか、のどちらかになる。

採用メーカー:パナソニック


ハニカム構造




 ハニカム構造セルはその名の通り、ハニカム状のセルをデルタ配列したセル。蛍光体層の塗布面積が計7面になり高輝度化・高効率化しやすいといった利点がある。マトリクス構造セルと同様、セルが完全にセパレートされているため、前面基板上の透明誘電体層に排気用の段差を設ける必要がある。

 また、デルタ配列のため、蛍光体ペーストの落とし込み充填がきわめて難しいなど量産プロセスはかなり難易度がアップする。このため、Samsung SDIから試作パネルの報告はあるものの、現時点では量産採用されていない。

採用メーカー:なし

■セル構造の比較

セル構造
輝度・効率
垂直解像度
アライメント難易度
プロセス難易度
排気性
クロストーク
フルHD化
実績
コスト
工程数/排気タクト
装置コスト
直接材料コスト
間接部材コスト
歩留り
トータル
ストライプ
×
◎(容易)
◎(容易)
◎(容易)
マトリクス
△(難しい)
×(難しい)
×
マトリクス(段違いリブ)
△(困難)
ハニカム
△(難しい)
×(難しい)
×(難しい)
×

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